グラウンド上の選手たちが表舞台のプレイヤーならば、W杯、トヨタカップ、高校サッカー等に代表されるビッグイベントのコンテンツビジネス等を手がける電通は、バックヤードのプレイヤー的存在と言えよう。
今日までの我が国におけるサッカーの発展に、電通の寄与が不可欠であったことが疑いない事実であることを、本書で
...続きを読む改めて再確認。「Know How」ではなく「Know Who」を重要視している筆者が、グローバルなマーケットで広い人脈を構築してきたことが容易に想像できる登場人物の多さは圧巻。
が、本書は電通社員であった筆者によるビジネスライク(情熱はあるのだが)な話に傾倒しているため、「"サッカーの国"になれたか」という題名にはやや図々しさを感じてしまうことも事実。
コンテンツビジネスの工夫次第で注目度を引き上げることは可能だし、注目度向上に比例して文化発展に繋がる図式(近年のAKB48等に代表されるアイドルブームも然り)があることは勿論なのだが、どうも"一にビジネスありき"の考えがやや透いて見えた部分は残念に思う。
「"サッカーの国"とは何ぞや」をどう定義するかにもよる問題ではあるのだが、この論では"サッカービジネスが潤う国"に留まってしまう。
"サッカー文化定着の国"という観点で見るならば、やはりJFA視点なども欲しいところ。