何故戦地に赴いて取材をするのか? 何故危険な地域で取材するのか?
丁度いまこの問題がクローズアップされているので、この本を手に取りました。
児童書として子どもたちを読者対象に書かれているため、内容も戦地に於ける子どもたちが中心となります。戦争で家や家族をなくした子、地雷で体に障害を負った子、少年兵
...続きを読むとして戦争に参加していた子、故国を追われて難民となった子。
各地での様子がその子の経験を通して伝えられます。そこにはその子らの写真と名前も添えられるためどこかの国の誰かの話でなく、例えばコソボに住む13歳の少年アデムの経験というように直接的に届くのです。現地に赴き当人と話したからこそ伝えられるものがあるでしょう。そしてそれを読むことによって感じるものもあるでしょう。
この本は7年前に出版されています。10年に満たない月日ですが、その間に世の中がここまで変わるのかとの驚きもあります。遠い国の事情として書かれていたことが、この国で目の前で起こっているのです。戦争とは何かを伝えてきた人たちの声が、いま届きにくくなっているのかも知れません。だからこの本は当時の事情を知るためのものというだけでなく、普遍化されたものとして読み継がれるべきものでしょう。
著者の山本美香さんはこの本を出されたあと、取材先で亡くなられています。何故戦地に赴いて取材するのか? 何故危険な地域で取材するのか? そこにいる人たちの声が世界に届けられていること。その声をきちんと受け止めているのか? 改めて考えさせられます。