600頁の長編。なかなか作中に入り込めなくて苦労した。事件の背景に巨大なモノが隠れているのは予想できるが、なんせ間口が狭いのだ。でも序盤を乗り越えた後はさくさく進む。
元KGBというキャラをどう活かすかという点に注目して読んでみた。ストーリーに大きく関わってくるというよりも、心理描写のひとつとして
...続きを読む関連付けされてるように思う。事件は現在のNYで起こるが、その根っこは過去のロシアにある。旧ソ連からロシアへ、そしてKGBからFSBへと、国家組織が改変していく陰で、利権と権力の総取りを企む悪人はどこにでも存在する。その陰謀の性質がロシアっぽいような。重さと暗さ、陰惨さも含んでかなりヘビーな内容ではあるが、意外と軽く読めてしまう。
ページ数に見合うだけのサスペンスではある。伏線も効いており、よく練られたストーリーだと実感できる。主人公も脇役も個性的で面白い。次回作を期待してしまうのは、相性が悪くないってことかな。IT系アイテムを取り入れると、現代のハードボイルドってこうなるのね。