作品一覧
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3.8M&Aとは、mergers & acquisitions の略語です。会社を合併したり買い取ったりするという意味ですが、日本では通常「会社買収」と呼ばれています。この本で私たちが目指しているのは、「会社買収」のあり方についてできる限り根本的なところから考え直し、国富の最大化という立場から、理論的にも実務的にも望ましい「会社買収ルール」を提示することです。そのために、まず私たちは経済学と法律学の原点に立ち戻り、会社という制度の第一の存在理由は、それが会社に対して付加価値を生み出し、国富の増進に貢献することであるという視点を打ち立てました。そして、その視点から、会社買収の本質とは何かを考え直してみたのです。必要なことは、国富の増進という目的に向けて、良い経営者が選ばれ、悪い経営者が選ばれないための公平で効率的な買収制度を設計することなのです。この本で提示する「会社買収のルール」は私たちが行ったそのような試みの結果です。私たちは、それがグローバル化した資本主義の中でも「世界標準」として通用するものであると信じていますが、最終的な判断は読者にゆだねたいと思います。
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
M&Aが国を富ませるという理屈をやりとりしてる本。岩井先生の会社論の要点が、ほどよく散りばめられており、なるほど感が高かった。
以下は、その要点。
<モノとしての会社>
・モノ=商品としてみた場合の株式固有の性質は、「議決権」が含まれている点。
・総会議決権の中で最も重要なのは、取締役の選任、解任の権利。
・敵対的買収は、この支配権を巡る争い。だから防衛策も、授権資本制度から派生する仕組みを活かして、敵対敵対買収者の持株比率を低下させるという点は共通。
・新株発行の決定は取締役会決議事項。ただし、発行可能株式総数の範囲で。
・誰にどれだけ割り当てるかも原則として取締役会 -
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Posted by ブクログ
岩井克人の新しい本。「良い会社買収」を「良い経営者を選ぶこと」と定義し、「良い経営者」とは株主のみならず社会全体に良い影響を及ぼしていく経営者という観点から、M&Aの制度づくりを論じている。前提として、著者の「会社はだれのものか」「会社はこれからどうなるのか」を下敷きとしている印象があり、「会社は株主だけのものではない」という点からスタートしているようだ。
ハードカバーで分厚いものの、論点は明確。恥ずかしながら会社法や証取法などの知識が絶無なので、「ほぉ、そうなのか。そうかもね」程度の理解だったが、今後勉強を積んで読み返してみると示唆が多いのかもしれない。第5章だけを読んでも十分。あ