寺社巡りや霊山登山が好きで、仏像にも興味はあるのだが、なんとか明王とか誰それ如来とかがどうも判別できない、といった私にとって、まさに探していた本。
文体は一見ふざけ気味だが、仏教史に相当な知見がないと書けないことは、逆に仏教に関心があればすぐにわかる。
小乗から大乗、ヒンドゥーとの混交や日本での神
...続きを読む仏習合あたりもカバー。
大乗仏教が哲学的に細かく分派しすぎていく様子を、「多くの人々を救済するはずだった大乗、『大いなる船』は、いつしか専門家の学術調査船と化していた」と説明するくだりには爆笑した。
イラストも抜群の直観性で分かった感満載。
ストレス社会、マインドフルネスと世の中皆が平たく言うと疲弊している中、この本もそうだが、仏陀が説いた本来の仏教は救済云々の前にまず「自分自身が生きにくさから解放されるための極めて実戦的な技術」だったことを強調する声が高まっている気がする。
終わりに、に引用されている「犀の角のように、ただ独り歩め」という仏陀の言葉は感動的。