医師と患者の間には大きな溝がある。
患者は間違いなく当事者なのに、診療の場では医師との知識の差により疎外される。
ではどうしたらいいのか。
しかし、それは実は本書の中心的な主題ではないようだ。
症状が出るメカニズムがわかっていれば、病名も診断名もなくても、治療はできる。
やる意味のある検査かどうか
...続きを読むがは、検査の診断特性とその病気らしさの判断を掛け合わせて決まる。
闇雲にやっても意味がない。
患者として本書から学べることは、これに尽きる。
ここだけを知るためなら、もしかすると、買って読むまでもないのかもしれない。
この本は、いったい誰に向けて書かれているのだろう?
読んでいて、何度かそんな気持ちになった。
これから専門教育に入る医学部の学生向け?
やや、読んでいてつらいところがある。
"これまで言語化されていない、診断医としての意識に働かせ方を書いた。"
途中で、その旨のことをご本人もおっしゃっている。
見えないものを、想像力を働かせて見ようとすることに大切さが説かれていた。
凄腕の職人さんの意識を言語化するという営為は、医学に限らず、興味があり、これまでにもそういう書物を読んだことがあったりするのだが…。
頭の中で時間軸を操作するというあたりまでは、何とかついていけた。
微視的、巨視的に視点を変えてみるというのもわかる。
が、四次元的に見るというのは、中々難しかった。
たぶん、再読はしないな。