家族3人を殺された苦しみ、憎しみ、葛藤が時を経て、解放されていく、その過程を綴っている物語である。
妹、父親、母親を殺され、容疑者は妹(19歳)の元恋人でありかつて同棲をしていた人だった。
その元恋人は3人を殺したあと自殺をしていた。
私ならその状況を見た瞬間抑えようのない怒りと憎しみでどうにかなっ
...続きを読むてしまいそうだし、行き場のない怒り、悲しみを抱えながら自殺すると思う。
だけど、著者はそれをしなかった。
著者は、様々な本を読んだりセミナーに参加したりして、心の断捨離をした。
その中でも、1番心に残った点は、三つある。
一つ目は、著者の恩師からの言葉である。
以下引用、[「運命」と「宿命」には実は大きな違いがあり、「宿命」は、たとえば男として生まれたこと。そして家族が殺されてしまう家庭に生まれたこと。こればかりはどう足掻いても、今から変えることはできない。でも「運命」は、これからの君の努力次第、生き方次第でどうにでも変えられるんだよ。]という言葉である。
二つ目は、他人からの意見やアドバイスを価値のあるものとして「受け止める」ことの重要性である。
人は、今置かれている状況を、他人や環境のせいにしてしまいやすい。しかし、それでは前に進むことはできない。他人の意見に反論するのではなくまずは真摯に受けとめ、考慮することで、新しい視点や解決策を発見するチャンスが生まれそれが逆境を乗り越えるヒントになる。
三つ目は、人の言葉や常識に惑わされず、自分の世界観で生きるということである。
人生の岐路に立って、一歩踏み出そうとした時、周りから「世間はそんなに甘くない」とか、「それは無理だよ」とか色々なことを言ってくる人が現れる。しかし、モノの見方や考え方は人それぞれで、色々な話に耳を傾けることは大事なことだが、周りの意見や世間の評価を気にしすぎて他人の価値観に引きずられることがないよう気をつけている著者は、私も気づきにくかったことを気づかせてくれた。
以上三つが主に心に残ったことだが、著者の行動力(セミナー、本を読む)や、様々な人に積極的に会い、素直な気持ちで受け止め、考え、自分の考え方を柔軟に変えていく姿勢がとても凄いと思った。凄いでは言い表せないくらい凄いと思った。
私も、もし困難なことや耐え難い逆境があったとしても、真摯に受け止めてその都度考え乗り越えていきたい。
そして、今あるこの幸せを大事にして1日1日悔いのないように生きていく。