農水省の職員として、YouTube「BUZZ MAFF」で日本の農林水産業を世界に発信されている白石優生さんの著書。
お若いのだろうとは思っていたが、こんなにお若いとは。まだ、若干26歳くらい。農水省で4年目くらい。
教員志望だったこともある白石さんは人とのコミュニケーションが大好きで、お祖父
...続きを読むさんがされていた農業にも興味を持ち、学生の時の研究で日本全国の農林水産業に携わる人達の話を聞いて回って研究され、今は「日本の食」への愛を持って、多くの人達にその魅力を伝えておられる。
この本を読むと、日本は「狭く、湿度が高い」など決して農業的に条件が良くはない中で、病気や虫や雨に強い品種を作り出すなど、不断の努力によって世界的に超優秀なレベルの農作物を作れるに至ったことが分かる。
また、「キツイ、ツラい」と思われ、後継者が危機的な数になっている中で、最新のロボットトラクターを導入して、何人分もの仕事を一人で短時間で出来る工夫をしたり、自らの仕事をSNSで発信することで、独自の販路を開拓し、農作物で終わらせず商品開発までされている前向きな若い農業従事者の方々も何人もいらっしゃることを知った。
農業は人間の命を守るために絶対に必要な仕事。なのに、やりたい人が少ない。私もそうだったし、家庭菜園すらやったことがない。そんな中で、自然や体力的なキツさや収入の不安定さと闘い、日本の食を守って来られている農業従事者の方々には頭が上がらない。
一番刺さったのは、「農薬=悪と思われているが、“適切“に農薬を使って、おいしさと安全性を両立させることが出来る」という部分だった。
考えてみれば、全く農薬を使わないと今のように手頃な値段で、丁度良い量の食品がいつもスーパーに並ぶということは期待出来ないはずだ。それに、私は農薬には確かに良いイメージを持っていないくせに、家庭菜園で作られた無農薬のキャベツから青虫が出てきたら飛び上がってしまう。こんな勝手なあくまでも自分では何もしたくない人間に「無農薬野菜」だの「有機野菜」だの語る資格はないと思った。
「文句を言う前に動き、「ダメだ」と思う前に考える」そういう健全な人達によって日本の農業は維持されてきたのだと思った。だから、せめてこれ以上日本の食料自給率が下がらないよう協力しよう。まずは「手前取り」から始めよう。