MITで化学の理学士号を取得している科学コミュニケーターである著者が、1000本の論文を読んだ上で、加工食品はどのくらい体に悪いのか、日焼け止めクリームは安全なのか、タバコや電子タバコはどうかといったことについて検証。
タイトルから、いろんな加工食品などについて、最新の研究成果をもとに、体に悪いのか
...続きを読むどうかの判定を下すような本と思って読み進めたが、いい意味で期待を裏切られた。科学の営み上、そういう問題への答えはそんなに簡単に出ないということがよくわかった。著者がアドバイスするように、食と健康に関するニュース等についてあまり気にせず、心配しすぎないということだ。
しかし、そんな中でも、タバコについては、明らかに体に害があることが科学的に明らかになっている稀有な事例であるということで、引き続き絶対にタバコは吸わないでおこうと決意した。
加工食品等が体に悪いのかどうかということを置いておいて、本書により、科学という営みについての理解が深まり、また、シアン化物が毒である理由、ハチミツの「乾いている」ことによる防腐効果、アブラムシの生態、p値ハッキングなど、本書で初めて知った科学的知見・エピソードも数多く、とても知的好奇心を満たされた。
本書は、終始アメリカンな軽快なノリの文体で書かれており、非常に読みやすかったが、著者の科学に対する誠実な姿勢は良く感じられた。著者は、優れた科学コミュニケーターであると思う。