数年前に 『インサイド・ヘッド』 という映画がヒットしましたが、それを哲学者が書くとこうなる、というような内容でしょうか。
「怒り」「悲しみ」「喜び」など、私たちの身近な「感情」(情念)は、なぜ起こるのか?
それを、17世紀当時の最新の医学の知見(←現代においては、完全な誤りです)を踏まえながら
...続きを読む、現代にまでその名を轟かす知の巨人・デカルト先生が一生懸命分析しました。
哲学書(哲学者が書いた本)というと、長くて難解でつまんない><!というイメージがあるかもしれませんが(それ以前にまったくイメージがわかないかもしれませんが)
「教養として、哲学書をちょっと読んでみたい!」 という人がもしいたら、
私は同じデカルトのもっと有名な本である『方法序説』や『省察』よりも、
哲学の入門書としてよく取り上げられるプラトンの『ソクラテスの弁明』や『メノン』よりも、
この本をおすすめします。
「物事を徹底的に考える(=哲学)」って、なんてばかで滑稽で、でも楽しそうなんだろう。
ということがじわじわ伝わってきて、微笑ましく読める一冊です。
中公文庫版は、有名な『省察』ともセットで読めておトクです。
訳者の野田又夫先生はデカルト研究の権威でもあるので、信頼できる訳で、注釈も充実しています。
一般人にとっての読みやすさという観点では、
岩波文庫の谷川多佳子さん訳に軍配が上がります。