一時期モーツアルトの音楽には脳波の一部であるアルファ波を刺激して安らぎを与えるということで音楽アルバムが発売されたことがあります。昔ドライブをしていた時によく聴きました。
年を取ってきたからだと思いますが、エレキギターの金属音がする音楽より、弦楽器やピアノ曲を聞いていると気分が落ち着くようになって
...続きを読むきました。人にはそれぞれ精神を落ち着かせる方法を持っていると思いますが、私の場合はクラッシック音楽を聴くことがお酒を飲むことより効果的です。
さて、この本は脳内物質の研究を長年されてきた須藤氏が、脳内物質の効用等について彼の成果を含めて解説した本です。脳内物質の一つである「ドーパミン」は、覚せい剤や麻薬と似たような構造を持ち、また体内で作られるようです。
この本を読んだ収穫は、ドーパミンを自分の体でつくるには、音楽鑑賞やスポーツを通じて脳機能を活性化することが寄与しているという点(p151)でした。
以下は気になったポイントです。
・本書は、脳の研究で権威を持つ国際誌に2004年に発表して、世界で最も注目された論文として子運用された研究内容を解説して、モーツアルトの奇跡を脳の研究を通じて考察するもの(p4)
・食事で摂取されるカルシウムは脳に取り込まれ、タイロシン水酸化酵素を活性化している、つまりカルシウムが脳の重要な機能を調節している(p6)
・ラットの行動が穏やかになるのは、モーツアルトが若い時期に作曲された音楽(ディベルティメント、教会ソナタ等)が多いが、人々が名曲として挙げる曲は、後半に作曲されたものが多い(p27、90)
・モーツアルトのウィーンでの年収は現在価値で1000万円強、そのうち半分程度はカード賭博等につぎ込んだとされる(p36)
・私たちの体には化学物質を通じた二つの情報伝達系がある、1つは内分泌系(ホルモン)、もう1つは神経系で神経伝達物質が神経の末端にある終末から放出されて、隣接する細胞に伝えられ、ホルモンよりも短時間で伝わる(p47)
・カルシウムを含むおつまみ(チーズ、小魚、しじみ、豆類、ナッツ類等)と一緒にお酒を飲むと、酔いが早まって体に良い(p53)
・日常の食事を通じて摂取されるカルシウムが、ドーパミンの合成を高め、脳機能を調節する重要な役目を持っている(p60)
・発作は、それ自体が病気ではなく、中枢で起こっている不都合な問題を改善されるために二次的に要求される、必然性を持った現象である(p66)
・カルシウムは、煮ても焼いても効用に変化がないので、牛乳などは温めたり、野菜は煮込むと良い(p81)
・母の歌は、子供の覚醒に穏やかな効果を与えるとされている、高周波数領域の音が脳内のドーパミンの合成を高めている可能性がある(p99)
・20世紀最高のソプラノ歌手、マリアカラスの治療(ある音域の声が出なくなった病気)した、トマティス博士の学説として、「聴き取れない音は発声できない」「聴力を改善すると、発声も改善される」がある(p102)
・ドーパミンの合成がされるときに、血液中のカルシウムの増加が必要だが、日常のスポーツやストレスによって起こる体の震えが、この反応の引き金になっていると考えられる(p129)
・歌ったり音楽を聞いたりしながら酒を飲むと、酔いが早まることを経験的に知っている、音楽とアルコールの関係は必然的であった、音楽的刺激がドーパミンの合成を高めると考えられる(p143)
・快感物質であるドーパミンは、その構造が覚せい剤の構造と似ている(p148)
・いろいろな問題で不快な気分や倦怠感に襲われても、薬物に逃げずに、音楽鑑賞やスポーツを通じて脳の機能を活性化して豊かな人生を過ごすべき(p151)
・モーツァルトが書き残した楽譜からは、他の作曲家よりも高い周波数領域(3500-4200Hz)と、透明感あふれる純粋なゆらぎ効果が豊富に含まれていることを指摘している、しかも倍音効果(音同士のぶつかり合いでもっと高い周波数を生み出す)により曲によっては1.5万ヘルツの音もある(p160)
2012年9月22日作成