帯に「高慢と偏見が好きな方に!」と載せられていて 宣伝に他の本を使っても良いものなのかと思いながらもまんまと手に取ってしまった。
開始10ページで間違いなくジェインオースティンの系譜であると分かった。女性は何も持たされておらず就ける職業も限られていて 一発逆転の手段は結婚のみ。高慢と偏見と違うのは
...続きを読むヒロインが家族のために結婚を選ぶところだろうか。またキャラクターがかなり深く作られているように感じた。頭でっかちな知識屋に見えていた妹(これも例の本の三女を彷彿とさせる)が 実は姉が自分のことを馬鹿だと思っていることを察していたり。対するヒロインも知識を披露するばかりの妹に呆れる振りをして その実羨んでいたり。貴族の男性と結ばれてハッピーエンドになるのはどちらも一緒だが ロマンス成分は恐らく没落令嬢の方が多い。ジェインオースティンの方は なんというかそのままその時代に書かれているので あんまり夢がないというか(そこもいいんだけど)……困った家族に対する恥や それに対する周囲の態度などそういうものの生々しさによって 後味こそいいものの読んでいてヘトヘトになるので。
イギリス社交界の煌びやかな描写はすごく楽しいものだったし そこで生まれるドロドロに近いドラマもあまり胃が痛くならないように描かれていて良かった。私は基本的に主人公の友人を好きになるタイプなので 今回も例に盛れずヒンズリーのことを好きになった。ああいう男にはもっと幸せになって欲しいんだ……