現代私達が思い描く「旅」のイメージはどうやら江戸時代ごろに固まってきたものらしく、それ以前の旅は放浪ってイメージに近いらしい。
江戸時代に盛んになったお伊勢参りを中心に当時の旅や信心について考察する内容です。
当時の人のお伊勢参り感や約60年に一度起きた数百万人単位のおかげまいりなどは日本の歴史や
...続きを読む文化を考えるにも面白いと思える。
そして、最後の章では現代に二十五年にも渡って実際に歩いてお伊勢参りを行ってきた経験等を書き綴っているのも面白い。
現代にも残る「おもてなしの文化」を語る一節は特筆に価する。
こちらがお願いする以上のおもてなし、そして提供をする側が考えるおもてなしが出来ないときは、たとえ要望する側が望むことは可能であっても断る。契約通り、言われたことだけするといった現代普遍的になりつつある考え方ではない文化が日本の近代化の中でどのような影響を与えたのかと考えさせられる。