作品一覧
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3.7手に汗握る政治ノンフィクション! 1993年は、日本の政治史において最も激動の年であった。 「東京佐川急便事件」に端を発した「政治とカネ」の問題や自民党の竹下派を中心とする派閥争い。バブルがはじけ始めた経済への対応。混迷する政治に世論の不信感は大いに高まっていた。世界からはベルリンの壁とソ連の崩壊、東西冷戦の終結という“外圧”も押し寄せていた。 そんな激動の波は、永田町にいた一人の男を突き動した。小沢一郎である。 政界で既に実力者として知られていた小沢は、同志の羽田孜らと共に自民党を離党し、政権交代を起こすべく、水面下で動きを加速させていった。 しかし、小沢の前にはいくつもの障壁が立ちはだかった。親小沢か反小沢という心理的な壁、選挙制度改革をはじめとする政策の違いという主義主張の壁、あるいは与野党という敵味方の壁――。小沢は前進と後退を繰り返しながら、非自民からなる細川護熙政権を誕生させた。「五五年体制」という最も強固な壁をぶち壊したのだ。 そんな最も政治が熱かった「1993年」という1年を駆け抜けていった小沢ら政治家たちの姿を描いていく。そして「1993年の小沢一郎」を通して、現代の日本政治が再びダイナミズムを得るためのヒントを探す。 (底本 2023年7月発売作品)
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
小沢一郎氏の実行力という政治手腕は群を抜く。しかも政治屋とは一線を画す「政治理念とビジョン」がある。それが93年の政権交代と小選挙区制を実現させた。だが、できた政権は寄せ木細工のように複雑で脆く、持続性は持ち得なかった。
それでも改革の実績は残るが、その意義を最も体得したのは自民党だった。
二大政党制を実現し、日本国民の政治的成熟を図る理想は素晴らしいが、超少子高齢化の下、財政ばら撒きという「ポピュリズム」が日本を蝕む現実。コロナ禍は更に加速させた。
小沢一郎氏はなお「政権交代」に執着する。その政治エネルギーはとにかく凄い。
ただ米国支配に挑む国力が今の日本にはない。それが失われた30年の答え -
Posted by ブクログ
1995年以来、38年間、自民党は与党であり続けました。
しかし、金権政治による政治不信の中、
選挙制度改革
政権交代
を起こすべく行動したのが小沢一郎でした。
55年体制という壁を壊し、連立政権を樹立し、小選挙区制を導入するまでに、小沢はどのようにして政界の中心として動き、そして歴史を動かしたのか。
様々な政治家とのやりとり、ギリギリの攻防が、舞台裏を密着取材をした筆者によって詳細に書かれています。
田中角栄、竹下登、金丸信、武村正義、細川護煕、村山富市・・・小沢一郎をはじめとした、ある意味で個性(アク)の強い、独断専行的な政治家はもう出てこないと思います。