作品一覧 2024/03/21更新 悪魔が唾棄する街 試し読み フォロー 血塗られた一月 試し読み フォロー 闇夜に惑う二月 試し読み フォロー 1~3件目 / 3件<<<1・・・・・・・・・>>> アランパークスの作品をすべて見る
ユーザーレビュー 闇夜に惑う二月 アランパークス / 吉野弘人 やっぱり2作目の方が面白さが増してる、今回はマレーとワッティーのどちらかとほぼ一緒にいるからチーム物感が増して前作とは印象がぜんぜん違う。 事件も連続殺人事件の捜査でわかりやすいし、事件の顛末もショッキングでいい。 マッコイとマレーの関係がやっと判明して、だからこんなにマッコイに目を掛けてんだなって...続きを読むわかった。 前回よりパワーアップしてるところは憎まれ口の多さ(笑) けっこうキツイことを言ってるのに普通に聞き流すし、当たり前なやりとり感がかっこいい。 クリント・イーストウッドの映画みたいでこの部分だけでめっちゃ満足した。 ラストの1文は誰の言葉なんだろう、予想ではマッコイかな?と思ったけど違うのかな。 3作目は表紙からタイトルからぜんぜん違ってかっこよくなってるから今から楽しみ。 Posted by ブクログ 悪魔が唾棄する街 アランパークス / 吉野弘人 1970年代のスコットランド、グラスゴーを舞台にした警察小説シリーズ第三作。本シリーズはノミネートされながらも受賞を逃してきたようだが、本作でついにエドガー賞優秀ペーパーバック賞を射止めたとのこと。シリーズのファンとしてはかなり気に入って読んでいるだけに嬉しいことこの上ない。また素晴らしいスピード...続きを読むで翻訳を進めてくれている吉野弘人氏にも感謝しかない。 70年代中期のグラスゴーの混乱、その中で起きる捜査のでたらめさ、犯罪の暗黒っぷり、など小説の舞台としては文句なしのシチュエーションを切り抜いて見せてくれるこの作家の目の付けどころにも感嘆するしかないのだが、何と言ってもジェイムズ・エルロイを思わせるような警察小説という形での暗黒史をシリーズでぐいぐいと切り開いて見せてくれる作家の筆の冴えには驚嘆を感じざるを得ない。 本作では前二作とがらりと状況が転換している。まず上司のマレー警部が任を解かれ休暇中であること。もう一人、これも超重要人物である暗黒街のドンの一人にして主人公ハリー・マッコイ刑事の孤児時代からの幼馴染であるスティービー・クーパーが体調を崩し寝たきり状態になっていることである。本作のほとんどでシリーズ一の強面が退場しているというのも寂しい限りだが、その分、独力で苦労する主人公の喘ぎ声が全編に響き渡るっているのはそれはそれで別の味わい。マレーの不在も重ねれば、マッコイはいつも以上に孤独に見える。その代わり強烈な悪役キャラ部長刑事レイバーンという胡散臭さたっぷりの登場とあいなるから、さらにビターは効いているという具合だ。 さて以上のマッコイにとっては踏んだり蹴ったりの状況のなか、ロック・スターであり本書タイトルを飾ってもいるボビー・マーチが殺害される。またマレーの姪が同じ時期に失踪。さらに銀行強盗事件と、実は本書はマッコイが複数事件を同時に解決しなければならないモジュラー型ミステリーと言える。ただでさえばたばたする小説シリーズであるのに、本作はさらに忙しい限りのマッコイが見られる。そして酒と美女に酩酊する一匹狼刑事の正義でありながらけっこうダーティなマイペースぶりも楽しめるところだ。 そして強烈な脇役連も。相棒のワッティーは強権刑事レイバーンに連れ出されて影が薄い本作だが、女性陣は負けていない。検屍長フィリス・ギルロイ、写真家ミラ、新聞記者メアリー・ウェブスター、バーテンダーのアイリスと元妻アンジェラ。よくも食えない美女たちがこうも並んだものである。 またこの作品でのエポックは、アイルランドに渡るシーンだろう。エイドリアン・マッキンティのアイルランド警察シリーズは1981年に幕開けのシリーズであるがその時期でもIRAによる爆弾テロに警戒する主人公刑事の姿が描かれているから、1973年を舞台にした本シリーズではアイルランドはさらに激化したテロの時代だろう。ジャック・ヒギンズの描いたテロリストたちが大いに暗躍していた時代だろう。そこに乗り込むマッコイはやはり予想通りの危険に曝される。 などなど犯罪と暴力と謀略てんこ盛りの時代と街とを、あくまで自分のペースで孤軍奮闘してゆく食わせ者主人公ハリー・マッコイのデンジャラスな日々を読み、たっぷりと効かせたビターな作品を味わって頂きたく思う。 Posted by ブクログ 闇夜に惑う二月 アランパークス / 吉野弘人 ダーティな訳あり刑事ハリー・マッコイを主役としたシリーズの第二作早くも登場である。お次の第三作も既に出版されたばかりなので、遅れを取っているぼくは慌てて本作を手に取る。500ページを超える長尺の作品だが、スタートからぐいぐい牽引される、心地良いまでの読みやすさだった。 アナーキーな印象の刑事マ...続きを読むッコイに、年下なのに面倒見の良いワッティー、上司にはタフでハードでおっかないのだがどうにも面倒見の良いマレーという捜査トリオがとにかく良い。前作を引き継いで読んでゆくとレギュラー出演組の個性がそのまま増幅されるほどにシリーズの魅力にどんどんはまる。幼ななじみでギャングのボスのスティーヴィー・クーパー、女性記者メアリー。いずれもマッコイとのやりとりや距離感が素晴らしい。 さて本作の事件は、前作よりさらに派手派手しい。建設現場の屋上での無残な殺害現場に幕を開ける。日付入りの場面転換は前作を踏襲。ただし今回は殺人者の目線での描写が日毎に挿入される。殺人の動機もこの殺人者の異常性もエキセントリック極まりない。全体ではこの作品のジャンルは、警察小説の形を取ったノワールだと思うが 、殺人者のシーンや、もう一つの材料ともなっているロボトミー手術を考えると、サイコ・サスペンスと言ってももいいくらい。 残虐性、荒っぽさ、そして過去の幼児虐待の記憶など、すべてが前作を引き継ぐと同時に上回って見える。とりわけ過去の孤児体験、修道院での男児性被害など暗すぎる過去を引きずる主要キャラクター二人の過去と、本作での決意と行動は全体を揺るがすほどの意外性に満ちており、警察小説としての枠組みすら破壊して見える。 1970年代のスコットランド。グラスゴーを吹き抜ける時代の風。カトリック教会の光と闇。いつもながらの残虐な死と狂気に満ちた犯罪のタペストリーが、未だ二作目だというのにクライマックス感を見せてくれる。とんでもない作家。予想を覆す展開のシリーズ。善悪の彼岸にある心の深い傷と、半世紀前という闇の時代を吹き抜ける血腥い風の冷たさ。熱い怒りの血が流れ、愛に飢えまくる主人公マッコイのアンチ・ヒーローな魅力が凄い。彼のあまりに強烈な行動とその結末まで魅せられる力作。荒っぽくもデリケートな本作の愛と痛みに震えて眠れ。 本作は、エドガー賞最優秀ペーパーバック賞の最終候補作となり、次作の『悪魔が唾棄する街』(2024年3月既刊)では見事に同賞を射止めたとのことである。楽しみな必読シリーズの登場である。 Posted by ブクログ 血塗られた一月 アランパークス / 吉野弘人 訳者で本を選ぶ。ぼくにとっては珍しくないことだ。翻訳家の方は依頼されて訳す仕事もあれば、翻訳者自らが押しの作品を出版社に提案することで自分の仕事を作ることもあるらしい。本書の訳者である吉野弘人氏と言えば、ロバート・ベイリーの胸アツ作品群で知られる方なので、遅まきながら気になった本書を手に取る。 ...続きを読む 本書はグラスゴーを舞台にしたスコットランド・ミステリー。背カバーには<タータン・ノワール>とあるが、タータンとはタータンチェックのことなのだね、なるほど。舞台も1973年と半世紀前なのである。アイルランドを舞台にしたエイドリアン・マッキンティのショーン・ダフィ・シリーズに少し似た熱い感のある本シリーズ、主人公は法律破りもものともしないハリー・マッコイ。一匹狼の気配のある前者に比して、こちらは悪っぽい主人公刑事の背後に優等生的若手刑事ワッティーがつきまとう。この凸凹コンビが、実はつかず離れずのいい感じのコンビで何ともいい感じの雰囲気を作品全体に与えるである。 本書の事件は刑務所で始まる。ある少女が殺されるという囚人の予想に端を発し、その件の少女は少年に撃たえ、少年自らも頭を撃ち抜く。予告者であった囚人も同時に刑務所内で殺害される、と緊張感いっぱいの状況で開幕。ミスリードあり、裏切りありのシナリオに翻弄されつつ、グラスゴー警察のハードボイルドさに痺れながらの緊張感いっぱいのシーンが続く。 古いあの時代、作中にはデイヴィド・ボウイやフェイセズ在籍中のロッド・スチュワートが登場。ドラッグと貧困の風が吹き抜けるグラスゴーの夜の描写が凄い。どう見ても病んでいるとしか言いようのない都市の裏路地。底に生きる悪党どもの描写が際立つ。しかし、汚れた街をゆくのは高潔な騎士ではなく、本シリーズ主人公のハリー・マッコイだ。完璧とはおよそ言えぬ弱みを見せる性格。孤児院という名の掃きだめからやって来た天性のデカ(刑事)にも見えるし、孤児院で塒を同じくした一人は闇ギャングのボス。我らがヒーローの愛人は何と薬中の娼婦。どう見てもまともではない主人公設定だが、だからこそ貫ける意地の捜査が見ものである。 それでいて、われらがダーティ・ヒーローの熱源は怒りと優しさなのだ。法に準拠しないはみ出し捜査も魅力的だ。何とも70年的なヒーローなのである。どん底から這い上がってきたヒーローが、巨人ゴリアテのような悪党どもを叩きのめすストーリーのプロットが何ともアクロバティックでスリリングこの上ない。ブラックな手法も辞さないこの古くて新手の主人公に打ちのめされた。 タイトルの通り「一月」にスタートした本シリーズは、訳者あとがきによれば現在6作まで書かれているらしい。順次翻訳が進むことを期待したい。本作、半年前の出版時に読んでいれば、間違いなく『このミス』の6作にも推したのだが、読み遅れてしまったのが我ながら惜しまれる。第二作にも期待。次は逃さぬ! Posted by ブクログ 闇夜に惑う二月 アランパークス / 吉野弘人 読み終わって最初の感想は、「新たな傑作シリーズの誕生」というものです。前作を遥かに凌ぐ出来だと思います。前作でショーン・ダフィーのシリーズには、及ばないと言ってしまいまいましたが、それも撤回しなくてはいけません。 原題は「February's son」今回は、2月のグラスゴーが舞台です。タイトルも中...続きを読む々、意味深です。相変わらず、印象的なオープニングで、話しに引き込むのが上手いです。推理小説的な面白味としては、途中でそう繋がっていたのかと驚く箇所が有ります。 本シリーズの最大の魅力は、解説でも述べられていますが、主人公ハリー・マッコイの危うさです。今作では、少年期のトラウマから、警官にはあるまじき事に、道を大きく踏み外してしまいます。最後は、ハリーの悲しい 告白で終わる事になります。ハリーが、この後、どうなってしまうのか、今から気になってしまってなりません。 ☆4.8年間ベスト級だと思います。 Posted by ブクログ アランパークスのレビューをもっと見る