作品一覧
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3.7姉が弟の遺体を浄める。本来これは同性の仕事なのだが、姉は自分がやると主張した――。亡き弟の思い出を情感豊かに紡ぐ「浄め(グスル)」。アメリカの女の子として成長してきたアラブ系移民2世の“わたし”と、波乱の人生をおくった伯母の物語に、窓から飛び降りた女が女神と邂逅する幻想的な光景を織り込んだ「マナートの娘たち」。#MeToo運動以前の映画産業で、あるインターンの女性が受けたハラスメントを描き、問題提起する「懸命に努力するものだけが成功する」。新聞記事や手紙、メールの文章、リアリティー番組の台本やSNS投稿など虚実取り交ぜた多彩な媒体のコラージュで、フロリダで実際に起こったシリア・レバノン系移民夫婦のリンチ事件を核に、アメリカという国家に潜む暴力性や異質なものを排除しようとする人間の本質を浮かび上がらせる野心的な傑作「アリゲーター」。過酷な現実を生きる人々に寄り添い、多様な声を届けようとする全9篇。現代アメリカ文学の新鋭による鮮烈なデビュー短篇集!/【目次】浄め(グスル)/マナートの娘たち/失踪/懸命に努力するものだけが成功する/カナンの地で/アリゲーター/サメの夏/わたしたちはかつてシリア人だった/三幕構成による、ある女の子の物語/謝辞/訳者あとがき
ユーザーレビュー
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Posted by ブクログ
社会問題を扱った作品は興味があってよく読むものの、なんとなくリズム感が合わなくて、しっくりくる本ではなかったというのが正直なところではあるが、まざまざと苦悩や不条理を訴える内容ではないけれど、確実に存在するそれらが持つ重いものが詰め込まれている本だと感じた。
「懸命に努力するものだけが成功する」 ー 若い女性が権力を持つ役職のある男性に、能力ではなく恋愛対象の女と見られるか、それに加えてマイノリティではないかが出世が決まる世界を再認識し、やるせない気持ちになった。
「わたしたちはかつてシリア人だった」 ー 「難民が国家にとってどれだけの負担になるか、利益になるかという研究はおかしい。手を差 -
Posted by ブクログ
ネタバレシリアから子供の頃アメリカへ移住してきた著者による、シリア系移民を書く短編集。アメリカ社会において白人でも黒人でもないアラブ人の寄る辺なさが印象的だが、単純な構造の差別を書くのではない(ので出版社がなかなか見つからなかったらしい)のが面白いと思った。
静かな文章の中に静電気のように漂う怒りを感じるが、それはいったい何に向けての怒りなのかはあいまいだ。シリア系移民たち自身がイスラム文化にも帰属できず不信仰なふるまいをしていたり、シリアのアサド政権下でいい思いをしていた過去があったり、自らも差別をする姿もありと複雑な内容で、彼らの出自は文章中でも隠すように回りくどく示される程度だったりする。自分た