本書のタイトルでいくと、萬世一系は昔からの皇室のあり方ではなく、近代日本が天皇中心の体制を確立するための発明品であったというのが著者の主張である。
本書では萬世一系のテーマの他に天皇の戦争責任、憲法と皇室典範の関係、今後の象徴天皇制のあり方等皇室をめぐる諸問題に切り込んでいる。
著者は朝日新聞社に籍
...続きを読むを置いていたとのことではあるが、ご本人曰く「同社にとって好ましくないタイプの記者ではなかった」とのこと。たしかに朝日らしくない記述は目立つが、そうはいっても朝日の主張と大きく異なる事はなさそうだ。
面白いなあと思ったのは資料の天皇系譜図。これで行くと今上天皇から男系での系統を遡れるのだが、結果論的に所謂正統と呼ばれる系統とは違う系列で男子系統が連なっているということである。本書の中でも指摘されている事ではあるのだが。
それにしてもやはり気になるのは継体天皇が応神天皇の5世の子孫と言うところで、ここで皇統がつながっていると言っていいのかどうかは議論の余地がありそうに思うのである。