作品一覧 2021/06/17更新 ビジネス戦略から読む美術史(新潮新書) 試し読み フォロー ピカソは本当に偉いのか? 試し読み フォロー 名画の暗号 試し読み フォロー 1~3件目 / 3件<<<1・・・・・・・・・>>> 西岡文彦の作品をすべて見る
ユーザーレビュー ピカソは本当に偉いのか? 西岡文彦 19世紀の革命期以降、美術の評価の舞台は王族貴族のアカデミーから市民の世論になった。こうなると作者の声高な主張や作品の衝撃度が勝敗を分け、アトリエは世間に衝撃を与える作品の試作や実験の場所となる。ピカソの『アヴィニョンの娘たち』はその代表ともいえるものでいわば「新理論の論文」である。 更に写真の登場...続きを読むによって写実的な絵画は衰退し近代美術は「反写実」に向かった筆触(タッチ)の強調やさらに個々の画家が独自にそのスタイルを工夫することで自らを主張した。スーラの点点やセザンヌの平筆タッチ(p.123~) 近代以降の写実的でない美術の個々の解説は何度読んでも腑に落ちなかった。というよりはなぜこんな絵を描こうと思ったのかが理解できなかった。このようなマーケティングの視点(どの層をターゲットにしたか)ともいえる解説によりやっと腑に落ちた。 絵画が高額で取引されるのも需要と供給という市場原理に則っただけで画商の勝利であっても画家の勝利ではない(p.178)も頷けた。一度できたスター(ピカソほか)の名に乗っかったほうが価値を高められると。 Posted by ブクログ ビジネス戦略から読む美術史(新潮新書) 西岡文彦 名作が生まれた裏側にあるビジネス戦略 販売戦略、マーケティング戦略、メディア戦略、広報戦略、政治戦略、写真すらない時代において、美術はその手段であり、目的であり、商品であった とまぁ、名作を見る目が変わる一冊 Posted by ブクログ ビジネス戦略から読む美術史(新潮新書) 西岡文彦 美術を商品としてとらえ、その売り方が 歴史とともに変動する、と教えてくれる本。 宗教が強ければ、宗教画が 教会から注文される。 その場合、教会の権威のプレゼンテーションと して、絵画が使われる。 王宮が強ければ、王宮画が王宮から注文される。 これも、王族の権威のプレゼンテーションが 求められる機...続きを読む能。 教会や王宮に権威がなくなると、市民に売る ことになる。 受注生産ではなく、見込み生産。 市民が入り込めるように、民衆や、 風景が描かれる。 成金がでてくると、客をその気にさせるため 金縁の額にかざり、客を貴族かのように 扱い、高値でありものを売る。 美術をこういう観点で理解するのも、 面白いな、と思う。 Posted by ブクログ ピカソは本当に偉いのか? 西岡文彦 写実主義から、前衛主義へ。 作品の風潮と、その背景として、アメリカの経済発展と同調した取り巻く絵画市場環境の増大。 この波はもはや現代に再来せず、それに最大限乗ったピカソと同調の存在もまた不出世のもの。 「女は苦しむ機械だ」と公言し、その激しい感情の力さえも、破壊的な芸術性に変えて描き続けた、まさ...続きを読むに怪物。 しかし、自画像として、死期が近い中で自ら描いたその暗澹たる表情は、生涯で手にした成功と同等、それ以上の闇を感じてならない。 まさしく、ピカソ本人、作品、評価された背景が網羅的に読み取れた一冊。 ニューヨークに、MOMAに行く前に読んで置きたかった。 Posted by ブクログ ピカソは本当に偉いのか? 西岡文彦 以下の質問に答えている。 1.ピカソの絵(「アビニョンの娘たち」を中心として)は本当に美しいのか、どこがうまいのか 2.見るものにそういう疑問を持たせる絵がどうして偉大な芸術とされるのか 3.そのようにどうしてこれほどの高値がつくのか? 4.ピカソのような絵は誰でも書けるのではないか 5.そう思わせ...続きを読むるような絵を偉大とする美術界はどこかおかしいのではないか 6.そういう絵にこれほどの高値をつける美術市場もどこかおかしいのではないか。 作者はこれにこのように答えている。(以下ネタバレ) 1.ピカソの絵は、それ以前の美術の基準に照らせば美しくない。しかし、ピカソの絵は、超絶なデッサン力に支えられており、非常にうまい。 2.ピカソの絵は当時求められていた前衛芸術であり、衝撃によって人々に従来の基準への疑問を抱かせることを狙っていた。 3.ピカソが現れた時代、それ以前の教会を飾ったり貴族の家を飾るという実用性のある美術と異なり、美術館に入れるための絵が求められており、美術品自体の主張が必要とされていた。ピカソの絵はその需要に応えていたから、高値がついた。 4、ピカソの作品は、高い技術と巧妙な市場戦略に支えてられており、亜流の作家では真似ができない。 5.ピカソの絵は、絵がもっぱら美術館に飾られるものになったと言う文化の変化に対応するものであり、その方向をうまく追求しているために偉大とされている。 6.美術が儲かるとする投資家、画商、オークショニアの力により美術市場が支配されているため、高値がついている。また、新しい作家を育てるよりも、既に定評のある作家の作品の値を上げる方が、投資として効率的であると言う戦略に基づいて、ピカソの絵の価格が上がっている。 Posted by ブクログ 西岡文彦のレビューをもっと見る