F1ドライバー中嶋悟の手記。日経新聞の私の履歴書の記事を加筆修正したもの。
子供の頃から実家の農場で、バイクや車を乗り回した少年が、レースに目覚め、借金をしながら実績を上げてF1ドライバーとしてブームを巻き起こすまでとその後の活動を振り返る。
私も現役時代の彼のファンだった。中嶋選手は、現役時代か
...続きを読むら控えめな人で、日本のレースでは凄い実績を持っているのに多くを語らなかった記憶がある。当時は、海外に行くドライバーがいなかった時代で、中嶋選手は早くから海外レースに挑戦し、世界のドライバーの実力を感じていたのだろう。それがいつも謙虚な態度に表れていたのだと思う。F1では、いつもレースを堅実に淡々と走っていたが、意外にリタイヤが多かったようだ。車と自分の調子がうまく噛み合わなかった印象がある。
素朴な語り口の内容で、今まで知らなかったエピソードがたくさんあって、貴重な写真も紹介されていて、ファンには大変面白い本だが、彼のレース成績や経歴、乗った車などのデータぐらいは追加してほしかった。ファンにとっては既知の事実であっても、彼の実績を知らない人、F1を知らない人には判り難いと思う。