著者は植物療法の専門家。植物療法の知見に基づき、「ゆるめる」「温める」「巡らせる」の3つの視点からヘルスケアの方法を教えてくれる一冊。
私は西洋医学を信頼しているし、かなりお世話になっている。ただ、もっと「心地がよく」「癒される」やり方で自分の心身をケアしてみたいと思い本書を手に取った。
タイト
...続きを読むルにある3つの中でも、特に「ゆるめる」という視点は、自分の中に持っていなかったかもしれない。「ゆるめる」とは、意識的にリラックス状態を作ることで副交感神経を優位に立たせ、自律神経を整えることだ。私はストレスを解消しようとすると運動したり、読書して頭を使ったり、アクティブなことをしようとばかりしていた。これでは疲れが取れないのも仕方ないと、反省した。
この本では、ハーブの蒸気吸入やハンドバス、アロママッサージやヨガ、ストレッチを通じて自分の体をゆるめる方法を知ることができる。
早速本書にならってアロマのハンドバスをしてみたところ、とても心地いい1日を送ることができた。それを皮切りに、ヨガやストレッチ、マッサージなども少しずつ生活に取り入れている。今までに体験したことのない深いリラックス感を味わうことができ、自分自身でも驚いている。
「温める」、「巡らせる」の章でももちろん、たくさんの実践方法が紹介されている。全部で260ページ。
自然療法を本格的に学びたいというよりは、おいしいところをかい摘みたいという方にオススメだ。本書はそういう方にとっての事典的な存在になり得るだろう。
本書を読んで考えたひとつの懸念点としては、これら自然療法の実践にはお金がかかるということ。ハーブティーに必要な材料やアロマオイルは、高価である。無添加・無化学調味料の食材、天然素材の購入といった衣食住のアドバイスまで実践しようとすると、生活費用もかさんでしまう。そこを引き受けてまで自然療法と深く付き合えるかどうかは、その人次第だろう。
また自然療法を知ったところで、化学調味料や化学物質など世の中に溢れるものに対して、「良いか悪いか」「正しいか間違っているか」の二元論的視点で過度に批判的になるのはよくないと、著者は警鐘を鳴らしている。最後の章では自然療法における“ホリスティック”な部分、全体的なつながりで物事を見る視野、ということについても軽く言及されている。
私は本書でたくさん紹介されているハーブティーのレシピで茶を淹れてみたいので、自宅でハーブを育ててみようかなと目論んでいる。本書は私の生活に新たな楽しみを与えてくれた、ありがたい本であった。