Jpopに詳しくなく、この著者さんのことは今まで知らなかった。
音楽学者にして、ミュージシャンの方だそうだ。
が、文体はいたって親しみやすい。
(アメリカで育った方で、母語は英語のようだが、なぜ関西弁なのだろう?)
ヒット曲には、人をもっと聞きたいと思わせるものを持っている。
それをリズムという面
...続きを読むから説明する。
説明は「生命力(Life)」「魅力(Appeal)」「一体感(Immersion)」「恩恵(Reward)」の四観点で整理する。
この項目の立て方は、何となく欧米っぽい感じがする。
本書で初めて、「グルーウ」の説明を読んだ。
よく聞くけれど、よくわからないまま今に至った言葉のひとつだ。
Grooveはもともと「溝」。
本書によれば「溝のような凸凹の立体感が感じられる様子」。
単なる拍にアクセントが付き、メリハリがついた状態。
一まとまりのリズムのパターンを作り出すもの。
こんな感じで理解したらいいのかな。
そして、強拍の位置をずらしたりして、リズムの表現性を高める、とのこと。
オンビート(表拍)とオフビート(裏拍)。
均等にするものをストレートと呼び、オフビートを短く軽くすることでスウィングになる。
ここら辺から「講義」がはじまり、不均一で予想がつかないリズムにずらすことでリズムの生命力が生まれることへと話が進む。
自分にとって新鮮だったのは、リズムはドラムやベース、リズムギターなどのリズムセクションだけで作られるのではない、ということだ。
たしかに、ボーカルでも、リードギターのメロディの中にもリズムがある。
そして、複数の楽器で異なるリズムを演奏したり、部分的に合わせたりということでも表現の多彩さにつながるということも面白かった。
解説も、楽譜中心ではなく、曲の例をたくさん挙げて言葉で行われる。
古い曲(70年代アイドル歌謡など)もそれなりに多く含まれているのは、新書の読者層を意識してのことかもしれない。
この方、YouTubeで解説動画もたくさんアップしているそうだ。
perfumeのポリリズムの解説動画、見てみよう。