誰もいない森の中で倒れた木は本当に倒れたのか
この議論は逆に言えば、森の中で木が倒れた音を聞いたと主張する者がいれば、真実となるということになる
この本は12-13世紀を舞台にした「法螺話」の話である
イタリア出身の主人公バウドリーノは我が半生は語られることによって真実となる、と第四回十字軍のさなか
...続きを読む助けたビザンチン人に語り出す。
バウドリーノはフリードリヒの養子となり司祭ヨハネ(プレスタージョン)の王国を目指して旅をするが主人公の話そのものが虚実が曖昧である。更に旅の途中で聖遺物の偽造で金儲けを図るが、偽の聖遺物を売って儲けた金で本物の聖遺物を購入しようとする欺瞞。更に旅の先では様々な神学論争を戦わせ、真実が曖昧となる。
こうなると何が真実か、真実の条件は何かが不明となる
本書は真実かそうでないかの判断基準とは何かも問いかけてくると思う