ある日、スーツケースを持った、見慣れない動物がやってきた。スーツケースには、家に山、海まで入っているらしい。本当かどうか気になって仕方がない住民たちは、見慣れない動物が疲れて眠っているあいだに、スーツケースを壊して中を見てしまった。
目覚めた瞬間の見慣れない動物の表情と、それから最後までの3ページ
...続きを読むでつーんと鼻の奥が痛くなり涙があふれてきた。ここにくるまで、どれだけつらい思いをしてきたのだろう。新しい場所で、新しい仲間と、どうか幸せに暮らしてほしい。読み終わったあとに改めて「とおくで あらたなせいかつを はじめている すべてのひとに ささぐ」という作者の言葉を読むと、さらに心が暖かくなる。
余談だが、作者紹介と訳者紹介がとても親近感のわく素敵な文章だった。エホンムシや、好きなこと、好きな季節、好きな色など、読んでいてこんなに楽しい紹介文は初めてだった。化学同人社さんの紹介文はみんなこうなのだろうか。同社の他の作品も読んでみたくなる。