ANAが、武漢肺炎パンデミックによる旅客激減という壊滅的な危機を、どのように乗り切ったかをつづった、ノンフィクション。
ANAは日本航空と違い、純民間航空会社として起こったその出自から、自主自律の精神が企業文化として根付いている。それが遺憾なく発揮されたのがのが、武漢肺炎が巻き起こった2019年か
...続きを読むら2022年の3年間だろう。
JALの敵失とインバウンド需要で我が家の春を謳歌していたANAは、武漢肺炎パンデミックで壊滅的な打撃を食らう。国内外の旅行客がゼロになったからだ。その中で、政府の支援を良しとせず、人員の大量解雇といったこともせず、どのように生き延びたか?
いかに現実を見つめ、仕事のあり方を見直し、コストを削減し、中には新しい仕事を見つけ、背を縮めて乗り切ったかが、詳細に記されている。この歴史はANAだけでなく、全ての会社組織に教訓として生かせるだろう。
メインの仕事が壊滅的な打撃を被った時に、どのように企業内外に向けて経営トップが発信をするかというトップダウンと、現場が会社の危機をいかに自分事として考え工夫するかのボトムアップの両輪が、ANAを不死鳥のごとく甦らせたのだ。
企業における危機管理の一級の記録書だと思う。会社人なら、損はない一冊である。