古代ギリシャ ストア派の哲学者エピクテトスが説いた考えを著した本の新訳。
エピクテトスは生また時からの奴隷であり、人生の途中で奴隷を解放されたという異色の経歴の人物。
そんな苦しみを耐え抜いた人の説く哲学だから綺麗ごとは一切なく、理路整然とどう考えるのが納得できるかに終始している。
言っている
...続きを読む内容はハッとさせられるものも多いし、読む価値はあるのだが、如何せん2000年前の事柄が引き合いに出されるから、共感できないことも多い。
そして多分、激情家だったのだろう。
ヒートアップすると次々に違う話に波及するし、他の学派をディスり始めれば、けちょんけちょんに言うしで、ついていくのが大変だった。
度々、わからなくなるからすぐに眠くなるし。。
とはいえ、学んだことは価値があると思う。
エピクテトスの主張は主に以下である。
・自分の力の及ぶもの、及ばないものを区別せよ
・力の及ばないものに心を留めるな(環境・人間関係・身体)
・力の及ぶものを使いこなすことに注力せよ(自らの意志)
・物事の善悪は自分の力の及ぶものの中にしかない
・行動、考えを自然本来に適うようにせよ
書いたら単純ではあるが、口酸っぱく繰り返し説明されるように、実際に日常に当てはめるのは思いのほか難しい。。
以下、いいなと思った発言
・追放か、死刑か? 追放です。 それでは昼食にしよう。
・最高のものに到達できないからといって、捨てて顧みないようなことはないのだ
・我々のうちの大部分はキツネとなって、いわば動物の中での不幸者になるのだ
・我々がこれこれのことが良いと思わなければ、その結果となる行為をすることはないでしょう
・自分の意志に反しているところ、それが牢獄だよ。
・神々は唯一、心象をどのように用いるかだけを君の責任として付与してくれた。
・所有のある所に損失があり、苦労がある
・共通の利益に何らかの貢献をしない限り、個別的な善のいかなるものも獲得できないように人は作られている
・君もそう思えるようなときなどは「もう遊ばない」といってやめる事だ。だけどそれをやめないのであれば、泣き言を言ってはならない
・君の物はあらゆる手段によって守り抜き、君の物でないものは望んではならない
・牢獄とか追放や死などは善悪とは無関係
・意志に関わりの無いことは大胆であれ、意志に関わる事には用心深くあれ
・死とは何であるか。お化けだ。労苦とは何であるか。お化けだ
・私は私のするべき仕事をしたが、君が君のするべき仕事をしたかどうかは、自分で見てみることだ
・人間とは理性を持った死すべき動物だ。理性の無い野獣(危害を加え、乱暴)や羊(欲情にふける)になってはならない
・もし君があらゆることをお金に換算してみるならば、鼻を失った人は君の目からすれば損害を受けたことにはならない、という事を考えてみることだ
・哲学するというのは判断基準を考察し確立すること(秤をつくる)で、その上で認識されたものを用いるだ。例:善は誇るに値するが、快楽は値しない など
・我々は小さな身体に、わずかな財産に、権威にどう思われるか不安を感じているが、我々の内部のことについては少しも不安ではない。という事はありえない。
・何かが奪われる、失われるならそれまでに用いることが出来た時間に感謝して、気持ちよく速やかに返すことだ
・訓練・習慣は少しづつ、自分を褒めるように
・心像よ、お前を調べさせてくれ と言えばいいのだ
・ストア哲学は病気、危機、追放、低評価、死に際しても幸福な人々である
・人の心は「私、私のもの」に利益があるところに必ず傾く。
だから「私、私のもの」を自分の意志のみにするべきだ。
そうすれば、財を守るより、誠実な男であることが利益となる。
・友愛とは他でもない、誠実さがあるところ、専ら美徳だけを尊ぶところにあるのではないか
・自分と自分の属するものを意志とは無関係な所に置こうとする。これが対立を招く。
下巻も気になるが、読み進めるのが大変だから悩むところ。。