21世紀の戦争は、すべて「目に見えない戦争」である。そう捉える著者は、多くの事例を紹介して実態を明らかにしていく。
まずはデジタル空間における国家の諜報・妨害活動について、2016年のアメリカ大統領選におけるロシアの介入例などが紹介される。続いてドローン兵器やキラーロボットなど自律型致死兵器シス
...続きを読むテムの現について。これらの使用に規制をかける動きは遅々として進まず、対抗手段として、攻撃者に対する「ハックバック」は許されるのかとの問題について、国際法におけるデジタル時代の“防衛“の位置付けが論じられる。
「目に見えない戦争」は「利益の論理」に立つ西側諸国と、経済的に価値のある資源を政治的、軍事的に管理することを目指す「レントの論理」に立脚するロシア、中国との対立の中で進行している。
2つの体制の対立に直面する今、著者はいくつかの対応策を考察する。直接にはヨーロッパはどうすべきかを論じているが、日本の今後を考える上でも参考になると思われる。