鮎川ぱて『東京大学「ボーカロイド音楽論」講義』を読み終えた。
本書は、その名前のとおり、東大教養学部で開講されている、ぱてゼミこと「ボーカロイド音楽論」講義を書籍化したものである。
初音ミクなどで有名なボーカロイドによって歌唱される曲、ボカロ曲について、ジェンダー論や記号論などを交えながら、作品と作
...続きを読む者個人を切り離して批評していく。
特に印象に残ったのは、ジェンダー論についてで、あくまで本書(本講義)のジェンダー論は入門であるとされていたが、
セクシャリティに「他称」はないと述べられているところなど、その人の性はあくまでその人自身のものなのだが、「男の子/女の子だから……」「男/女なのに……」など、普段から無意識に「他称」していないかと反省させられ、
きちんと理解していなかった内容も多く、自分のジェンダーに対してのリテラシーの無さを反省させられた。きちんと勉強しないといけない。
その他、様々な論点についてボカロ曲批評を通して述べられており、読みごたえのある本だった。
本書は「外野」に理解してもらうことを目的としていないとはあったが、米津玄師が「ハチ」という名義で、ボーカロイド曲を多く作ってきた人だと知らなかった人は、是非読んでみてほしい。