漫画家ちばあきおのご子息が、ちば兄弟に聞き取った話などをもとにした評伝。
かつて『消えた漫画家』で読んで、自死で亡くなったことは知っていたが、
本書で、原因はアルコール依存症に起因するものだったということがよく分かる。
財布は持たせてもらえず、周囲の酒店にも販売禁止が親族から言われていた。
台所で
...続きを読む料理酒を飲んだり、弟にカップ酒を買うために百円貸してと電話したり。
兄てつやのアシスタントをしている時も仕事場で酒を飲んだため、てつやに
叱責される場面もあったという。
盟友の武論尊も一緒に飲みに行くのを避けていたほどで、周囲がアルコール依存症を治療しようと必死になっていたのがうかがえる。
『プレイボール』と『キャプテン』の連載を同時に抱えている時は、心身の疲労がすごかったという。出稿した後のゲラにも赤字を入れていたというほどの完璧主義。作風そのものの真面目な人柄だったのだろう。そして休載を経て、『チャンプ』を連載中の1984年8月、41歳の若さで亡くなる。
著者はかつての父の年齢を超え、作品をもう一度読者に届けたいとプレイボールの続編を漫画家と取り組んでいる。自死遺族として、辛い年月もあっただろう。こうして取材に基づいた評伝を残してくれたこと、一読者として感謝している。本書は漫画史の貴重な一次資料だ。