DCD(発達性協調運動障害)についての最新の書(2022年前半現在)。
医師、OT、PTの共著書となっており、未だに理解の広がりがあるとは言えないDCDの実態やその背景、テーマごとの指導法などが図解入りで丁寧に紹介されている。
不器用さが関連する行動や課題は本人も周りも「見てわかってしまう」ので自
...続きを読む信・自己肯定感の低下につながりやすい。多くの指導者にとっては「練習不足」「努力が足りない」「家庭のしつけができていない」などと短絡的に評価しやすい面があるだろう。
しかし、本書では丁寧にその生理学的(脳や神経、筋肉の働き)課題の所在が説明されており、これらを根拠に「どこから、どうやって練習するか」「どのように援助するのがよいか」が具体的に述べられている。
後半の「45の知識」では、特別支援教育やインクルーシブ教育などについても広く触れられており、特に学齢期の子どもたちを支援する職種に役立つ内容と思う。また、保護者にとっても(わかりにくい)教育制度の現在の仕組みが掴みやすくなるため、学校をはじめ教育行政、医療福祉と連携する上で心強い一冊になるのではないだろうか。
DCDがあると地味につらい。私たちは身体を使って生きているので、DCDの存在は学習だけでなく生活すべてに不便さをもたらし、それがストレスにもなる。成人当事者にとっても「自分の不器用さはどこから来るのか」を知っておくことは理論武装と自己理解に繋がるのではと思う。ぜひおすすめ。