作品一覧 2022/11/16更新 テロリストとは呼ばせない 試し読み フォロー ロスト・アイデンティティ 試し読み フォロー 1~2件目 / 2件<<<1・・・・・・・・・>>> クラム・ラーマンの作品をすべて見る
ユーザーレビュー テロリストとは呼ばせない クラム・ラーマン / 能田優 1作目に引き続き善悪の境が分からなくなるようなハードな物語ながら、だがしかし現代社会をテーマにしたらこう描かざるを得ないよなっていう絶妙なバランスを保っている。今作は一人称語りの視点を2人にしているが、ムスリムのコミュニティの同胞を救いたいジェイ、白人の家族と幸せな人生を送りたい元テロリストのイミー...続きを読むの視点は、ムスリムが一方的な被害者ではないことを共通して語っていて、非常にバランスよく誠実な描き方だと感じた。 最後はクリフハンガーかつ救いのない終わり方で、続編が気になるところ。はやく出版されますように。 Posted by ブクログ テロリストとは呼ばせない クラム・ラーマン / 能田優 ジェイ・カシーム三部作の二作目ということである。前作のラストは異様であった。本作はそれを継いで始まる。ぼくは前作で、町の移民である若者ジェイが悪を倒すために国家的組織に利用される構図を、『傷だらけの天使』のヒーロー修とアキラの兄弟に例えてしまったのだが、それは本作でもあまり変わぬ印象のまま。 ...続きを読む『傷だらけの天使』という稀代のTVドラマをかつて青春真っただ中で体感したぼくには、木暮修たちは純情なコアの部分を持ちながら青春を精いっぱい生きる若者たちであるにも関わらず、東京という大都市に蠢く大人たちの欲望や駆け引きに否応なく利用されてしまう悲しき天使たちとして描かれていた。等身大のヒーローならまだしも、社会の底辺で、教育もなければ立派な家庭もなく、到底平均生活レベルに達していない純情な青年たちであるように見えた。 さて本作だが、イギリスに移民として暮らすイスラム社会の若者たちと対照的に、イスラム移民たちを極度に差別してテロに走る歪んだ白人青年たちの世界をも同時並行的に描くことで、より二極化した対立構造が浮き彫りになっているところが特徴である。しかも若い世代間でのストレスの捌け口としての人種差別が、誤ったヒーローイメージを作り出し、人種が異なるということだけで嘲りや暴力の対象としてしまう。この辺りから物語は、平和な国ニッポンの『傷だらけの天使』の世界をぐっと離れて、よりきな臭く、根深く見えてきた国際問題・人種問題を孕む現代的対立構造へと傾斜してゆく危険な風景として見えてくる。 乾いた暴力の残酷さを露にする子供たち。彼らを操る冷血な大人たち。彼らのふるう暴力によって犠牲となる無垢な異人種の子供たちの運命をも過酷なまでに描いら印象的な悲劇として本書の前段の中心に持って行く。平均的日本人が知るイギリスとは全く異なる闇の部分をぼくらは読まされることになる。ずんと来る衝撃のような感覚。 本書では、二つの一人称が並行する。「おれ」で描かれるジェイに加え、「わたし」で描かれる複雑な二重生活の青年イムラン。さらに白人のテロ組織に勧誘されかかっている少年ダニエルが三人称で登場。それぞれの章は、最初は独立して描かれてゆくのだが、彼ら三人の運命は、血と憎悪とヘイトと暴力によって徐々に物語の核となる場所へと手繰り寄せられてゆく。 トライアングル構造のこの三人主人公で物語を進めることにより、本書は前作よりもさらに奥行きのある立体構造を持つ。イギリスという国における宗教や人種の問題の複雑さ、またそこに住む者たちの分断や苦しみを日常レベルで表現しているように思う。一方の側からだけではない三つの視点を経験しつつ、またもクライマックスの新たな大規模テロ事件へと本書は疾走し続ける。 前回とは異なるスリルと厚みを持った二作目の本書。暴力の風が吹き荒れる国で懊悩する青春群像と、そこに蠢く魑魅魍魎のような仕掛け人たちの冷たい暴力装置に目を向けつつ、自分が自分であることに拘る主人公・ジェイたちの、独自としか言えない青春冒険小説が再び発火する。緊迫感が増し増しの第二作となった本作。注目あれ! Posted by ブクログ ロスト・アイデンティティ クラム・ラーマン / 能田優 主人公はイギリス生まれのパキスタン人。ムスリムでありながら、麻薬の売人、酒も飲む、と言う設定。イギリスの組織に計略的にスパイの仲間入りをさせられる。始めは主語は一人称だが、ある時から主語が変わっていき、それと共に物語のスピード感も増す。ジハードの話?と懸念する必要はなかった。訳が上手くて、明治維新の...続きを読む時の戦いとかにも置き換えられそう。最後はびっくり‼️それって英国の差金かとも思った。悲しい物語。 Posted by ブクログ ロスト・アイデンティティ クラム・ラーマン / 能田優 敬虔、とはいえないムスリムでありドラッグの売人でもある主人公がMI5にスカウトされて、イスラム過激派のグループに潜入する。 なぜ彼がスカウトされ、なぜスムーズにグループに招き入れられたのか?一つのパズルがきちっと嵌り、ストーリーがしっかりと動き出す。 根底にあるイスラムの物語の上に、主人公の軽妙さや...続きを読む周囲の人間との結びつきが描かれ、スピーディーな展開で面白い。 主人公はチャチな悪党かと思いきや、母や友達を大事に思い、正義感をもった人物で本当に魅力的。 翻訳が素晴らしい。 が!ラスト!嫌な予感はしてたけど。 これは一体どうなるの…? ここで終わるっていうことは、そういうことなんだろうけど、でもこれじゃあ無理では…。 早く、早く続きを…! Posted by ブクログ ロスト・アイデンティティ クラム・ラーマン / 能田優 普段読まないタイプのの内容。 とても、ハイテンポで読みやすかった。 ムスリムについて知識はあまりない私でも分かりやすく、そして、宗教について考えさせられた。 Posted by ブクログ クラム・ラーマンのレビューをもっと見る