ユーザーレビュー フイチンさん 復刻愛蔵版 上 上田としこ 時代を超えた作品である。満州という幻の国家の様子を伝える証言でもある。 マンガならではの闊達さというか、本作の舞台は「戦前のハルピン」と「描かれた当時のニッポン」の二重写しになっている。 フイチンは言うに及ばず、リイチュウ坊っちゃまの言動が愛らしい。 『フイチン再見!』村上もとかの講演の中、...続きを読む「手塚治虫に始まるマンガの系譜とは別に、戦前の挿し絵文化の流れを受け継ぐマンガがある」とそのような発言があった。ヒロインの伸びやかな手足がそれを如実に物語っている。 Posted by ブクログ フイチンさん 復刻愛蔵版 下 上田としこ 少女マンガといえば恋愛マンガのような印象を覚える。しかし、『フイチンさん』連載時、男女の恋愛を描くのはタブー気味。思うに、戦後社会が「女の子は花嫁修業を経て、両親が決めた相手と結ばれるべし」という空気だったのだろう。 何と、下巻でリイチュウ坊っちゃまがフイチンに告白。大旦那の思惑の中、第一夫人と...続きを読むいう玉の輿が彼女に用意されていた。 それを最終回であっさり断るフイチン。どこまで画期的なヒロイン像だったのか。 Posted by ブクログ 上田としこのレビューをもっと見る