何か明るいお話を読みたくて、タイトルから明るそうなこの本を手に取りました。
勝手にそんなイメージを持って読み始めたもんだから、中国人の移民の女の子のお話で、しょっぱな家族3人で1つのハンバーグをを食べている時は、ん?ってなりました。
主人公のミアはパパとママと3人暮らしです。ファミリーはアメリカン
...続きを読むドリームを夢見て移住してくるのですが、その暮らしはあまり良いものではありませんでした。そんな時あるモーテルで住み込みで働くことになりました。そこのオーナーはヤンさんといって同じ中国人ですがとてもお金に執着春のあるケチな男性でした。
そしていざ働き始めてみると、急に労働条件が変わったり、清掃や管理に追われ、ヤンさんからは搾取されまくり、それはもうとても過酷な日々となります。
ミアのお友だちのルーペ。彼女の家庭も裕福ではなく、ミアにとってとても大事な存在になっていきます。ルーペのセリフで、「この国で勝ち組になると言ったらベッドの置いていないリビングを持つことね。」というセリフがありました。お金持ちから貧乏まで自分がどの位置にいるかというのは人それぞれ。貯金もない我が家は貧乏な気もするし、外食にたまにいけて、たまにほしい物を買えてるうちはそこまで貧乏じゃない気持ちにもなってくる。私にとっての勝ち組は…専業主婦かな。
ルーペのセリフにはこんなセリフも。「貧乏人のジェットコースターからは降りられない」育った環境?本人の怠惰?はたまた運命か。貧乏人のジェットコースターというのは残酷な喩えでいろいろ考えさせられますね。
胸に強く響いたのがパパがすごく高い鉛筆を買ってくれた話です。毎日がその日暮らしと言っても過言ではないほど切羽詰まっている中で、ミア元気づけるために買った鉛筆。パパはその鉛筆を大切に持っていなさいとは言わず、使ったらいいさと言いました。使ったらすぐになくなってしまう鉛筆に、600円をかけることで、ミアの価値はそれだけすごいものなんだぞって言っている気がして、涙が止まりませんでした。それはある意味では、お金をいっぱいためてすごいものを買うよりその時のミアには意味があると思いました。
結局のところずっと貧乏で明るいお話ではなかったけれども、強く胸に響いた1冊でした。