作品一覧

  • ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか
    4.5
    1巻3,740円 (税込)
    〈私は、噂の重要性を次のように見ている。すなわち、公的な情報源から提供されない場合に答えを求める手段、不確かなリスクに直面したときに集団で意味づけをする手段、公的な経路ではまだ認識されていない予見できないリスクについての新情報を伝える合図としての重要性である〉「ワクチンを打つと不妊になる」「ワクチンを打つと自閉症になる」――。予防接種という世界的なプロジェクトの誕生以来、私たちはワクチンをめぐって常に噂やデマに翻弄されつづけてきた。それらの噂やデマは単に街の噂話から立ち上り拡散されていくのでなく、時の政権やエリートへの不信感のなかに、そして宗教的指導者や科学者の発言のなかに火種が隠されていることもある。さらに、ソーシャルメディアに慣れ親しんだ今日の私たちは、容易に噂のパンデミックに曝される危機に陥っているのだ。ワクチンをめぐる噂やデマはどのように生まれ、どう広まり、なぜ疑いようのない事実のようにいつまでも消え去らないのか? ワクチンの信頼性をめぐる国際的な研究プロジェクトを率いてきた人類学者が、多様な背景より湧き上がる噂の生態系を明らかにする。[解説・磯野真穂]
  • ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか

    Posted by ブクログ

     「ワクチンは打たれる側にとってはわけのわからない液体である。自分の体に入ってゆく液体がただの生理食塩水か、劇薬か、それとも未来の自分と他者を守る液体かを確かめるすべはない。自分がある病気に罹らなかったのはワクチンのせいなのか、単に運がよかったからなのかを確かめるすべもない。そのような不確かな状況においてもなお、その液体を体内に入れることを決断させるのは、注射器の中の液体が自分にとっても他人にとっても意味があるという暗黙のあるいは意識的な確信である。その確信は、ワクチンを接種する医師、配布する行政、それを作り出す企業、そして社会全体へと続く期待と信頼によって生み出され、支えられる。だからこそ、

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    2022年11月17日
  • ワクチンの噂――どう広まり、なぜいつまでも消えないのか

    Posted by ブクログ

    現在のコロナ禍は2年以上が過ぎ、やや落ち着いてきた印象もあるが、なお完全終息からは遠そうだ。
    終息に向け、ワクチン接種が推奨され、3回目の接種も進みつつはあるが、一方で、ワクチンについては強く反対する人も一定数存在し続けている。

    本書は、コロナ禍に合わせて刊行されたかのようなタイトルだが、実は原著はコロナ以前に書かれている。最終稿が脱稿されたのが2020年の1月末、その数日後にWHOが新型コロナウイルスに関して緊急事態宣言をした、というタイミングだった。
    つまりは、ワクチンに関する「噂」、それに関連する反ワクチン運動というのは、以前から繰り返されてきたということである。
    著者はそれを「生態系

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    2022年04月25日

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