作品一覧

  • 戦争体験 ――一九七〇年への遺書
    3.0
    1巻1,155円 (税込)
    戦争体験の伝承ということ、これについては、ほとんど絶望的である――。少年期を日中戦争の戦時下に過ごし、大学在学中に徴兵され、ソ連軍の捕虜となり復員。異常で圧倒的であり、自らの現在を決定づけた戦争体験とその伝承の難しさについて、戦中派である著者が切々と書き綴る。戦後多くの知識人が、体験を思想化・体系化して後世に伝え、反戦・平和を訴える義務と責任を説くなかで、著者はその「語りがたさ」に固執しつづけた。屈辱や憤り、自責、虚しさ、喪失、死への誘惑……。時に感傷的で非生産的と批判されながらも、断片的で矛盾に満ちた自らの戦争体験に留まり、二十年をかけてその「無念」を問うた書。
  • 戦争体験 ――一九七〇年への遺書

    Posted by ブクログ

     戦争を二度と起こさないため、あの悲惨な戦争体験をいかに語り継ぐかとの問題が問いかけられ、時には熱く論じられていた時代があった、そんな記憶がある。本書を読んで始めに思ったことである。

     著者は、学徒出陣で戦場に送られたど真ん中の戦中派世代である。終戦間近の戦闘で、銃弾の音が著者の耳朶をかすめた瞬間、著者の肩越しに銃を撃っていた戦友がドッと倒れてしまう、即死だった。彼は死に、自分は生きて戦後の生を生きている。その恣意性、偶然性に徹底的に拘ることが著者自らの戦争体験の原点となる。

     果たしてそれは語り継ぐことができるのか、そもそも語り継ぐべきものなのか。

     一方で、戦争体験を聞く後進の世代か

    0
    2021年07月22日

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