ソマリア内戦に巻き込まれたオマルと弟ハッサンの自伝となるグラフィックノベルです。
4歳のオマルは父親を突如銃殺され母親とは生き別れとなり、唯一の家族ハッサンを連れてケニアの難民キャンプへ逃げ込みました。
何日も歩き続け瀕死の状態で到着し運良く回復しますが、キャンプは開かれた牢屋と呼ばれる厳しい世界だ
...続きを読むったのです。
身寄りの無い彼らの後見人となる優しい女性ファトゥマと出会い、ここでの長い生活が始まります。
実の母親のこと、国連に申請して先進国へ渡ること、障害を持つ弟ハッサンとファトゥマのこと、オマルは沢山の悩みを抱えながら待ち続けるしかありません。
書き出しに“ぼくの子ども時代はなかったも同然でした。”とあり、読者に伝えたいことの全てがここにあるように感じました。
限られた子供しか通えない学校から“難民であるということについて”を英語で書く課題が出ますが、色々ある中でも一際衝撃のある文章を引用します。
難民であるということは、未来がまったくないということです。
生きてはいても過酷な状態が延々と続くのであれば、それは人生を謳歌しているとは言えず消費していることになります。
地球上の間違った普通に対しては、国を跨いで異常と認識し解決しなければならないと強く思いました。