ノーベル文学賞受賞作家であるルイーズ・グリュックの初邦訳の詩集。読んでいて溢れんばかりの花の芳香、光、瑞々しい風を感じました。登場するのは庭作りをする詩人や創造主の神、数々の草花たちで、それぞれ独立している作品でありながら、全体でひとつの作品のようにも読めます。光があり、水が流れ、風が吹き、そして湿地や暗がり、夜や闇がある。自然と共に生き、祈りを捧げ、神と対話する。作品そのものがある人の一生涯にも思えます。どの詩も素敵ですが、中でも『銀のユリ』がお気に入りです。装丁も素敵で繰り返し読みたい詩集です。