俳人の夏井いつき先生と、実の妹であるローゼン千津さんの本、第二弾。
この、パンデミックのご時世であり、夏井先生の夫・加根兼光(かね けんこう)さんも交えての、Zoomでの対談となった。
兼光さんはほとんどの場面、黙って見守り(口を出す隙がないとも言う)、なにか訊かれれば即座に回答し、ぱっと資料を取り
...続きを読む出すという、完璧なサポートぶりである。
あまり食べ物に興味がない、と冒頭から書いている夏井先生に対し、千津さんの食べ物に対する情熱と知識量、経験値はものすごい。
語彙力表現力、ユーモア力も半端なく、ややもすると、千津さんが滔々と語り、夏井先生が合いの手を入れる、みたいな流れになっている。
食べ物の俳句は、草間時彦氏の本で語られ尽くしたかと思っていたが、まだまだそんな物ではなかった。
千津さんの食べ物経験値が豊富なのは、夫のナサニエル・ローゼン(通称ニック)氏がアメリカ人の著名なチェリストという事もあるだろう。
NY在住期間もあるので、そこの食文化も知り、そして、ニック氏はユダヤ系なので、ユダヤのしきたりも大切にしている。
また、ダーリンが外国人系の、「生卵を食べられない」的なネタにも事欠かないのだ。
対して、夏井先生は、漂泊の俳人タイプだ。
俳句さえあれば何もいらない的なストイックさ。
兼光さんが随分と夏井先生に温かい場所を提供しているのではないかと感じた。
そして、夏井ファミリーの凄さを感じる。
夏井先生がその中心で、ゴッドファーザーのようだ。
カンノーリは置いて行け!
前作も良かったが、その数倍おもしろかった。
第1章 日常の食卓
第2章 旅の食卓
第3章 大勢で囲む食卓
第4章 祝いの食卓
第5章 思い出の食卓