吃音に悩みながらも社会福祉士にまでなった著者が、吃音に関する悩みや考え方、体験談を漫画にまとめた本。
そもそも吃音ってどういうものなのか、どういった場面で困るのかといったところも解説していてわかりやすい。途中途中では医師の解説も入っているので、吃音について知る時の入門書にも向いている。
漫画は著
...続きを読む者の子供時代のエピソードから大学時代のバイトで吃音に悩んだこと、社会福祉士を志すようになったことが描かれている。からかわれたりした経験もあるようだが、著者自身が前向きなのと周囲の人間環境が比較的恵まれていたようで、読んでいて鬱屈とせずに済んだ。
著者は恵まれた環境で育ったと言っているが、それでも言いづらい言葉を頭の中で置き換えたり、国語の朗読はあえて失敗して早く終わらせたり、なるべく目立たないようにしたり、細かいところで苦労されていたようだ。
吃音にとっての発音の難しさを風船にたとえた話は興味深かった。言葉1文字1文字が風船になっていて、それにタイミングよく空気を入れなければならない。テンポがずれるとうまく空気を入れられなくて同じ文字を繰り返してしまったり、伸ばしてしまうこともある。医学的な話はともかく、吃音ってこういう風に困っているのだと伝えるにはイメージしやすいと思う。
吃音の人が言葉に詰まった時、下手に先読みしない方が良いというのは意外だった。相手を思って「その先はこういうことだろう」と言っても、それが間違っていた場合に訂正しづらかったり、かえって話しづらくなることもあるそうだ。時間がかかっても相手の言葉の続きを待った方が良いらしい。