誕生日を迎える度に、年をとる。
時間は感覚的なものだが、やはり確実に一年過ぎることで相応の肉体の老化が見られるのだろう。抗えないものだが、その進行には個人差もあり、原理を知っておきたい所。人はなぜ老いるのか。
人が食品として取り込んだ糖質や脂質、タンパク質は代謝を受けて、ピルビン酸などになってミト
...続きを読むコンドリアに送られる。ミトコンドリアの中には、クエン酸回路と電子伝達系という仕組みがあり、ビタミンB群やミネラル、酸素を使いながら、ピルビン酸を二酸化炭素と水に分解する過程で、エネルギーを作る。そのエネルギーがATPとして一時的に蓄えられ、体の細胞や組織が使うエネルギーとして利用されることにより、生命は機能する。ミトコンドリアがエネルギーを作り出す過程で水を作り出している。これは代謝水と言って、成人で1日あたり約300から500ミリリットルの水。老化やミトコンドリア障害では、この代謝水の生成が減少して、細胞内の水分が減少するのだが、老化には、このATPや水分が大きく関わっている。
つまり、加齢とともにミトコンドリアのATPを産生する仕組みは劣化し、ATPを消費する仕組みも衰えていく。この劣化を防ぐには、① 2足歩行や手足を動かす運動、②認知、五感、コミュニケーションなどの精神活動をいくつになっても続けることが大切。お腹の調子を整えることも重要。
本書では、こうした内容を分かりやすく、基礎的な部分まで書かれているので学びが多い。
病は気からというが、老いも気持ち次第だろう。年寄りの冷や水なんていう言葉もあるが、老いに抗うのは、別に悪いことでもないように思う。少なくとも身内には長生きして欲しいと、勝手なものだが。