予測>判断>動き>打ち方
(引用)新装版 勝てる!理系なテニス 物理で証明する9割のプレイヤーが間違えている“その常識”!、著者;田中信弥、松尾衛、発行所:株式会社日本文芸社、2021年、28
いま、私もテニススクールに通っている。そのスクールでは、コーチから「サービスは、下から上に向かって打つん
...続きを読むだよ」という言葉をよく言われている。ただ、自分自身、なぜ、下から上に向かって打つのかが理解できなかった。中学校時代、私は、ソフトテニス部であった。そのとき、顧問の先生から「サービスは、高いところから下に向かって打つんだ」と言われて育ってきた。事実、スクールに通うまでは、そのように思っていて、硬式テニスにもチャンレンジしてきた。しかし、最近になって、スクールでも、テニス関連の書籍でも「サービスやストロークは、下から上に」というフレーズに頻繁に出会う。
そんな折、元オリンピック&日本代表コーチの田中信弥さんと、理論物理学者の松尾衛さんの共著による「新装版 勝てる!理系なテニス」が発刊された。テニスを理論的に知りたいと思っていた矢先であったので、迷わず、拝読させていただくことにした。
本書は、のっけから、「なぜサービスは『下から上に打つ』のか?」から始まった。この問いに対して、理論物理学者の松尾さんによる解説に納得させられた。松尾さんは、コートの広さなどをもとに、「打点の高さが約3メートルないと、上から下に打ち下ろしてサービスをボックスに入れることができないことがわかる(本書、18)」と言われます。その後、スクールでコーチのサーブを見た時、たしかに下から上に軌道を描いていた。本書の後半では、下から上に打つサービス練習の手法も掲載されていたので、実践しようと思った。
一方、冒頭に掲載させていただいた引用文は、私も衝撃を受けた。テニスは、不等式でできているという。この不等式によれば、まずは予測、次に判断、そして動き、最後に打ち方となっている。まずは、予測することが大切なんだということを改めて認識させられた。この予測は、自分のガットにボールが当たる感触、ここから予測が始まる(本書、33)と田中さんは言われる。ややもすると、自分は、いいショットを打つことだけに集中していたのではないだろうか。私は、コーチからも「打ったらすぐに構えて」と言われ続けている。今では、コートに立つと、自分で「予測、予測」と言い聞かしてプレーしている。
本書では、理論的にテニスを分析し、ウィークエンドプレイヤーでも楽しめるヒントが多くあった。欲を言えば、確実に入るスライスサーブの方法などについて、もうすこしページを割いてほしかったなという気がした。
しかしながら、本書は、どっぷり文系の私でも理解しやすい内容であった。そして、今後のテニスプレーに活かせそうなものばかりであった。ぜひ、私のようなウィークエンドプレイヤーにおすすめしたい一冊だ。