年間数万人の綿農家が自殺しています。彼らの生活は、世界中で安い服が売れる度に苦しくなっていくからです。児童労働や農薬による健康被害の問題もあります。
フェリッシモに勤める著者は、平和を願う趣旨のプロジェクトで20万枚のTシャツを売りました。しかしTシャツの原料の生産者である綿農家の厳しい実情を知るこ
...続きを読むとにもなります。そしてオーガニックコットンについて学び、「コットンプロジェクト」を立ち上げます。オーガニックコットンでできた製品を基金付きで販売し、インドの綿農家が有機農法へ転換する支援をしたり、プロジェクトに参加する農家には児童労働をやめさせる条件を出して、高等教育への奨学金制度も運営。
本書では、震災やコロナなども含めて、このプロジェクトのこれまでの険しい道のりが綴られています。
持続可能性とは何なのか、支援の在り方とは。これらを考える時にいつも思うのは、その課題への正解・不正解は無くても、個人の誠実さ・不誠実さは大事な指針ではないか、ということです。少なくとも著者の姿勢やこのプロジェクトには誠実なものを感じました。