作品一覧

  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの
    4.0
    1巻3,960円 (税込)
    「調査の過程で、中年の白人アメリカ人の自殺率が急速に増えていることがわかった。…驚いたことに、中年の白人の間で増えていたのは自殺率だけではなかった。すべての死因による死亡率が増えていたのだ。…もっとも増加率の高い死因は三つに絞られた。自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患だ。私たちは、これらを「絶望死」と呼ぶことにした。…絶望死が増えているのは、ほとんどが大学の学位を持たない人々の間でだった」(はじめに)「私たちが望むのは、死のエピデミックの純然たる恐ろしさ、そしてレントシーキングと上向きの再分配が生み出した極端な不平等に向き合うことで、これまで長く考えられてきた数々の構想が実行に移されることだ。その時はとっくに訪れている」(最終章)アメリカ労働者階級を死に追いやりつつある資本主義の欠陥を冷静に分析し、資本主義の力を取り戻す筋道を提示する。
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    アメリカと言えば経済超大国、アメリカンドリームの成功への切符のイメージがある。

    しかし現在には後ろ暗い苛烈な人生が横たわっている。
    本書はそのような現象に目を向けた本。

    おそらく経済学の学術書として書かれたものだと思うが、帯に書かれているように「ありとあらゆる市民が読み、議論すべきものだ」だと思う。

    これはアメリカで起きていることだが、資本主義を採用している国々でも起きるかもしれない。。

    本書で議論される内容は以下だ。

    年月を経ると普通、死亡率は低下し平均年齢は上がっていくものだが、大卒未満の白人に関しては死亡率が増えている。
    それもアルコール中毒、薬物過剰摂取、自殺という本書で絶望

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    2022年01月20日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    世界的に見ても死亡率が低下する中で、中年白人の死亡率が上がっている。
    医療やその他の生活環境が改善されているはずなのに、何が起きているのか。
    トランプ支持の基盤理解もできる。

    アメリカの低学歴労働者を取り巻く問題の原因を検証しながら絞り込んでいく過程もとてもよい。
    日本でも同じことにならないようにと思うが、すでに始まっているはず。
    企業内で最低賃金と最高の役員報酬の倍率制限など(20倍以内とか)法整備で対応してほしい。

    労働分配率がおかしいこと、社会の富を奪っている社会コストは医療費であること(医療サービスが高額料金を設定して、莫大な利益をあげたり、不当な薬で製薬会社が利益をあげていること

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    2021年05月02日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    「アメリカがグレイトであった」と感じる特定の層が確実に存在し、それが懐古幻想でも何でもなく統計的に「実際にグレイトであった」ことを証明し、かつ、そうではない層にとっては同じく統計的に「実際にグレイトでなかった」ことを同時に証明し、アメリカの中に異なる2つの別世界が在ることを論じる一冊。本書と「ジョナサン・ハイト / 社会はなぜ左と右にわかれるのか」の二冊でアメリカの分断については概ね個人的に納得できたので、この問題について読むのはしばらくこれで終わりにしようと思う。大変な良書。

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    2021年04月07日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    自分の浅はかな理解では、米国では、労働者階級の白人中高年の死亡率が高くなっている統計データを元に、白人の下流階級がいかに悲惨で、彼らが収入だけでなく自己評価も苛まれている状況を映し出す。
    彼らは自殺率が高いだけでなく、薬物依存、アルコール中毒のような緩慢な死亡も多い。
    つまり、自殺に至るまでの絶望感を麻薬やアルコールで紛らわしている状況らしい。
    さらには、肉体労働に関係する人達が多いので、死亡に至らなくても、中高年になると心身的な痛みも感じているらしい。
    トランプへの熱狂を生み出したのは彼らなわけだ。

    今まで疑問に思っていたことは、日本人で米国留学したり、MBAを取得したり、TOEICの高得

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    2021年03月19日
  • 絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの

    Posted by ブクログ

    21世紀のアメリカ合衆国では平均寿命が短くなっている。その理由の一つにオピオイド(ケシ由来の麻薬性鎮痛薬や同様の作用を示す合成鎮痛薬の総称)の過剰摂取がある。「もっとも増加率の高い死因は三つに絞られた。自殺、薬物の過剰摂取、そしてアルコール性肝疾患だ」(アン・ケース、アンガス・ディートン著、松本裕訳『絶望死のアメリカ――資本主義がめざすべきもの』みすず書房、2021年)。阿片が持ち込まれた清朝末期同様、依存性薬物は社会を蝕む。

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    2022年06月21日

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