ヒューマノイドという人工体が平然と存在していて、更には管理者の居ないヒューマノイドでもある程度自由に行動できるというのはかなり風変わりな世界観
しかも、そういった世界観でありながら主題となるのは音楽であり、もっと言ってしまえば主人公の憬と憬が焦がれるシオンの関係性が中心となっている
そういった意味で
...続きを読むは二人の少女の物語と見ることも出来るのかもしれないけど、本編にシオンはほぼ登場せず、代わりに憬の相手をするのはヒューマノイドであるキリエとなる
かなり特徴的な設定だけど、その特徴さは作品を峻烈にアピールするためではなく、余計な主張を消すために必要とされた特徴とであるようにも感じられた
シオンが笑顔のままピアノから離れる決断をした理由は皆目見えてこないけれど、それはヒューマノイドの演奏を聞いたことで「自分にはピアノしか無い」という感覚に罅を入れられた為なんだろうか?
シオンの決断が憬を曇らせ、そして憬とキリエの関係の根底に横たわっているというのに肝心のシオンが今何を考えているのか全く見えてこないのは不安にさせる構成になっているね
譜面通りに、また特定のピアニスト風に弾くことが出来るキリエ
憬はキリエにシオンの再現をさせようとした訳だけど、その目論見が外れていってしまう描写は面白いね
シオンのピアノを求めて止まない筈なのに無伴奏ソロと評されてしまう憬の演奏。だからかキリエが再現するシオンの音とも合うことはなく
シオンの再現が却ってキリエにシオンの音を侵略させてしまうことになってしまったようにも見える。こうなってくると憬はそもそもシオンの演奏は何で有ったのかという点を考えなければならなくなる。それが回り回って理解できないまま別れてしまったシオンを理解しようとする動機へ繋がっていくのか
幾多の触れ合い、演奏を通してキリエの中にシオンを見出そうとする憬。そんなタイミングで帰ってくるシオン
シオンを求める憬、ピアノしか無いと言うキリエ、ピアノ以外を見つけようとしたシオン。この三人はどのような物語を紡ぐことになるのだろうね?