木村映里の作品一覧

「木村映里」の「医療の外れで」ほか、ユーザーレビューをお届けします!

作品一覧

  • 医療の外れで
    4.4
    1巻1,760円 (税込)
    「病院の世話になるくらいなら死んだほうがまし」 そう言った彼に、わたしはどう答えたらよいのか? 若手看護師が描く、医療と社会の現実。 生活保護受給者、性風俗産業の従事者、セクシュアルマイノリティ、性暴力被害者などが、医療者からの心無い対応で傷ついたり、それがきっかけで医療を受ける機会を逸している現実がある。医療に携わる人間は、こうした社会や医療から排除されやすい人々と対峙するとき、どのようなケア的態度でのぞむべきなのか。看護師として働き、医療者と患者の間に生まれる齟齬を日々実感してきた著者が紡いだ、両者の分断を乗り越えるための物語。誰一人として医療から外さないために。 「白黒単純に塗り潰すのではなく、鮮明な解像度で描写する。 そうでしか伝えられない景色を、この本は示してくれた」 ──帯文・荻上チキ 「社会から排除されやすい人々と医療従事者の間には、単なる快不快の問題でもなければ、一部の医療従事者にだけ差別心があるといった類の話でもない、もっと根深く、致命的なすれ違いがあるように思います。マイノリティや被差別的な属性の当事者が積み重ねてきた背景と、医療従事者が積み重ねてきた背景は、社会の中で生きているという意味では地続きのはずなのに、しかしどこかで分断されているような気がする。各々の生きる背景を繋げる言葉が必要だと感じ、書き始めたのが本書です」(「はじめに」より) 【目次】 1章 浩はどうして死んだのか──セクシュアルマイノリティの患者さん 2章 医療が果歩を無視できない理由──性風俗産業で働く患者さん 3章 殴られた私も、殴った山本さんも痛いのです──暴力を振るう患者さん 4章 千春の愛情は不器用で脆くて儚くて──自分の子どもを愛せない患者さん 5章 「看護師が母を殺した」と信じたい、高野さんの息子──医療不信の患者さん 6章 私は生活保護を受けようと思っていました──生活保護の患者さん 7章 飲みすぎてしまう葉子、食べられない私──依存症の患者さん 8章 性暴力被害を受けて、裁判を起こした──性暴力被害者の患者さん 9章 医療が差別に晒される時──医療現場で働く患者さん 終章 医療から誰も外さないために
  • 医療の外れで

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    きっと筆者の評価しない姿勢が、これだけの言葉を彼女に託したんだろうなぁと思った。

    たぶんセクシャルマイノリティー、シングルマザー、水商売、生活保護、精神疾患など
    関わることがなければ他人事のように感じてしまう自分の周囲にあるものを身近に捉えてそれを文章に認めたことに感謝を覚えた。

    自分のことを語るにも勇気がいる。
    とても芯がある人だと思った。

    別の著書も読んでみたいと思った。


    著作の中で医療従事者の自分も心に留めておこうと再認識した箇所

    ***
    友人の医師は、生活保護受給者への医療従事者の目線に関して、「生活保護の受給者のごく一部に、どうしようもない性格で社会不適応であるがゆえに働

    0
    2023年10月18日
  • 医療の外れで

    Posted by ブクログ

    医療従事者が治療の枠の中から人々を見続けていることによって無意識の差別的意識をもつことを、各章で散々思い知らされる。しかし、医療従事者が差別される立場に置かれた感染パニックを経て、条件付きの差別の禁止をうたうことも誤りだったと筆者が自覚する。
    看護師のフィールドは、苦しみと傷つけ合いの連続だけど、それでも迷いながら、誤魔化さずにやっていけたら……、と結ぶ(ように思う)。

    明晰な文体、豊かな感性、凄い。木村さんの視点からみえる、繊細な気づきと緻密な整備を覗かせてもらうことができて、良かった。赤裸々な人生告白も読み物としては興味深い。

    ただ、誰も傷つけたくないという配慮がやや過剰な感じを受ける

    0
    2022年02月08日
  • 医療の外れで

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    私は文章を書くのが苦手で、うまく伝えられないのですが、読んでよかったと思う本です。
    なんなら、よく書いてくださいましたというような感じで、今看護師さんも大変ななかで、この木村にしか書けないであろうという内容でした。今、書いてくださったことが、多くの人に届いたり、理解したり、知ってもらえたらいいなと思いました。
    また、まさかの著者の木村さんは私と同い年で、のうのうと生活している私にとって、私も広い世界を見ていかなければならないような気になりました。

    0
    2021年07月15日
  • 医療の外れで

    Posted by ブクログ

    もっとも差別から遠くあってほしい医療現場だけれど。「けれど」の行間にあるさまざまなマイノリティの声、医療現場の葛藤、そのどちらも見つめながら丁寧に思考していく文章に惹かれます。こういう人でありたいなと思わせる著者の魅力も。

    0
    2021年06月14日
  • 医療の外れで

    Posted by ブクログ

    “どんな状況でも存在する不変の愛情は美しいけれど、親子だろうが家族だろうが「愛情があって当然」なんて、きっと思わないほうがいい。環境次第で愛情は失われ、愛情の残骸は暴力になります。”(p.96)


    “「危険で過酷な状況で頑張っているから差別しないで」は、反転すれば「頑張っていない人は差別されても仕方ない」という主張と同義になります。それは、自分からみて頑張っているように見えるかそうでないかで他者の価値をジャッジする行為であり、客観的に見て生産性の低い他者であれば差別しても良い、尊厳を奪っても良い、という認識に繋がります。”(p.203)

    0
    2021年06月06日

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