SDGs関連本5冊目。著者の田瀬和夫氏は、外務省に入省し、国連関連のお仕事をされてきた方。現在はSDGsパートナーズという会社を作り、そこのCEO。
感想。
SDGsからESG、企業がすべきことなどが丁寧にまとまっている。国連でのご経験から、国連主体のルール形成の流れ、背景にお?考え方に関する記載
...続きを読むが豊富で、理解定着を助けてくれる。人権関連のお仕事をされていたこともあって、私にとっては後半の結構な割合を人権が割いてるなあと感じました。
備忘録。
・はじめにの記載。「人間が生きていく上での課題は全て繋がっている」。食糧、衛生、薬、雨風から身を守ることなど、どれか一つを取り出して解決しても、その現場がしんどいのは続いてしまう。各課題を繋げたのがSDGs。
・サスティナビリティ。1987年の国連の委員会で「将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現世代のニーズを満たすような持続可能な開発」をサスティナビリティと定義。
・SDGsの目標と、自社の活動を紐付けして、「あれやってます、これやってます」としているだけではどこへも行けないし、儲からない。
・MDGs。ミレニアム開発目標。2015年までに達成すべき8つの目標。エイズの蔓延防止とかも入ってる。
・SDGsがビジネスで重要視される3つの理由。①大きな機会の創出、②リスクの最小化、③経済活動の土台形成(地球環境→社会環境→経済環境→企業活動)
・SDGsはインサイドアウトよりもアウトサイドインで。とSDGsコンパスでも示されている。
・企業は利益の創出と社会善を同時になすべきである。
・SDGsの浸透圧力。グローバルトップ企業がSDGsに取り組めば、それは川上にも川下にも強く広がっていく。
・企業のSDGsへのアプローチ。マッピング、マッチング、インパクト投資、参照手段としての活用、ESG投資への対応、経営への実装、はわかりやすかった。
・リンケージ思考と、レバレッジ・ポイントの話も分かりやすい。
・SDGsに取り組むことはそのままESGに取り組むことになる。
・ESG投資に関する受託者責任の記載も丁寧でわかりやすい。
・パリ協定の2度上昇の話。なぜに2℃か。海面上昇や台風の話もあるけども、サンゴの死滅から始まる海洋生態系への壊滅的影響や、陸上植物死滅からの陸上生態系への壊滅的影響も大きい。
・TCFDのシナリオ分析は、キリンの取組が参考になるらしい。
・人権については、実はSDGsの目標の中で明確にそれとわかるものがない(教育はあるけども)。人権はSDGsの基盤的位置づけ。