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Posted by ブクログ
数年前、突如として現れた最悪の感染症SARSについてのドキュメンタリーです。著者はアジア版『タイム』の編集長で、感染力・致死率とも高く重篤な症状を見せる病と、その正体も分からぬまま治療に奔走する医療従事者や原因究明に粉骨砕身する研究者たちの姿をジャーナリストの立場から見事に描いています。
もともと特定の動物にしか感染しなかったものが、僅か数ヶ月でどのようにして中国社会に蔓延していったのか。そこには人命より国の面子を重視する政府の隠蔽体質や腐敗、極端な経済格差、民衆の公衆衛生に対する意識不足などが大きく影響しており、感染症よりも、実はこちらのほうが恐怖です。