約30年前の夫の死後から現在に至るまで歌手活動を再開せず、沈黙を守っているちあきなおみについて、現役時代最後の1年と、沈黙開始からの7年の合計8年間をマネージャーとして付き添った著者の手記。
ちなみに夫は元映画スターで、俳優宍戸錠の実弟でもあった郷鍈治。俳優引退後はちあきなおみの個人事務所社長兼マ
...続きを読むネージャー兼プロデューサーだった。
ちあきなおみは未だにBS放送などでは特集番組がたびたび組まれるくらいの、衰えない人気っぷりだ
著者は二人に心酔するあまり、本書でも二人を神格化するレベルでの記載となっているところにはちょっと鼻白む気もしたが、それでも本書からはちあきなおみと郷鍈治の魂レベルでの深い結びつきっぷりが伺え、なるほどこれでは郷の死後周りからどんなに切望されても歌う気にはならないというのも何となく理解できた。
なお、本書で一つクリアになったことは、巷間ちあきは夫が荼毘に付されるときに「私も一緒に焼いてっ!」と叫んだとの話が伝説のように語られていたが、著者はその場にもいて、そのような発言はなかったと否定している。
ただ、目を離すと夫の後を追うのでは無いかと思い、宍戸錠の姉と著者とでちあきにつきっきりとなって監視していたということはあったとのこと。
私もベスト盤で彼女の歌をたまに聴くことがあるので、本書を読んであらためて生のステージを観てみたかった、聴いてみたかった、との思いを強くした。