好きな色があることは、人生をとても豊かにする。それをとても思い知らされた。
男の子がピンク色のランドセルを選んだら、という新聞の投書を発端に、ピンクをめぐる話が色々でてきて、すごくおもしろかった。
色彩のことだけでなく、外国の文化のこと、平安装束のこと、色盲(というのはよくない言い方かもしれないけ
...続きを読むど)とか、いろんな研究者を訪ねてまとめていて、「へー、そうなんだー」という新しい発見が要所要所にあった。
特に、タイの曜日と色の話はとても興味深かった。
先日『赤の図鑑』を読んで、これはおもしろい…!と思ったばかりだったので、なんとなく自分の中でつながりを感じている。
つながり、といえば、同じく福音館書店からでている『こどものとも』年中向きの2024.3月号は、ピンクの帽子がお気に入りのブタくんのお話。「こぶくん」だし、「ぼく」なので男の子を容易に連想するのだけど、「ピンクの帽子」に私は何の違和感も持たなかった。
息子の保育園のクラス帽子が「もも組」にちなんでピンクだから、「わぁー、一緒だねー」と子どもたちも大喜びですっかり気に入った様子だった。
我が家は第1子が女の子で、第2子が男の子。ピンクのボーダー柄や、ピンクのズボンはお下がりで普通に着せている。
しかし、ランドセルだったらどうだろう。
息子がピンクのランドセルを選んだら…「おぉ、それいいね!」と言えるだろうか。「こっちもいいんじゃない?」とか言って、他の色を選ぶように誘導したりしないだろうか…。
そういえば、年長クラスの保護者の方と立ち話で、「いよいよ卒園ですねぇ、ランドセル何色にしたんですか?」と聞いたことがある。
「赤にする!とか言ったら男の子なのにどうしようかと思っていたら、結局、青地に赤のステッチが入ったもので落ち着きました」みたいな内容が返ってきた。
もしかして浦和レッズファンのご家庭なのかな、と勝手に思っていたので、赤を選んだら「We are REDS!」と大喜びになりそうな話なんじゃないか、と思っていたこともあって、咄嗟に言葉に詰まってしまって「それもいいですね」みたいな曖昧な答え方をした気がする。
うーん。思い込みとか刷り込みって怖い。
赤が女の子のランドセル、という思い込みは経験上わかる。自分自身がそうだった。
だけど、「やっぱり赤は女子の色ですよね」と同調するのもちょっと違うかな、と思ったりしている。
いっそのこと「レッズファンのご家庭だと勝手に思ってて、てっきり赤を選んだんだと思ってました!笑!」みたいな話をすればよかったかな、と、ちょっと後悔している。
今度、赤いランドセルを持つ男の子と出会ったら、「ひょっとしてレッズファンなのかな」とか、ピンクならば、「ひょっとしてセレッソのファンなのかな」と思えばいいんじゃないかと思っている。
もちろん、それ以外の理由でも全然構わない。
好きな色のランドセルを選べる。よい時代になった。
本書の後半、新聞記事の続きで、ピンクのランドセルを尊重した親にエールを送った、と紹介された男性の話がとてもいい話だな、と思った。
いろんな国のピンク。いろいろな文化のピンク。
「こうでなくては」を、自分の中でもひとつひとつ「これもアリなんだな」に変えていきたい。