女王様の命令で王子の子供を産めと言われて従う女騎士ってどれだけいるだろう。
ユディトの場合、忠誠心が人一倍、自分のためより人の役に立てることこそ嬉しいと思う性格だったから、最初こそ戸惑っていたけど受け入れるのが早かった。
一方、種馬扱いされた王子の方が一筋縄ではいかなかった。
いや、多分王子の考え方
...続きを読むの方が常識的には合っていたと思うぞ。
ただだからって決闘にまで発展するのはどうなのとは思ったが。
あの、片方女性ですよね?
何で男子校のノリなのだ。
それに勝ったら子作りだと言っているのが女性側と言う。
……深く考えては駄目なやつだ、これ。
そういうノリで始まったのだが、いざ話が進むとただのコメディとはいかなくなる。
その辺が末恐ろしい作品である。
王子が抱えている血筋の件もそうだが、王女の誘拐話から一気に話が血生臭くなる。
というか容赦がなくなるというか。
容易に人が亡くなり、サブキャラクターたちが結構えげつない目に遭うので、序盤の雰囲気を引きずっていると度肝を抜かれると思う。
そういう話だとは思っていなかった。
いい意味での裏切りである。
油断は禁物。
そんな危機的状況の最中でも、寧ろそういう状況だからこそ、主役二人の仲が進展したのが救いといえば救い。
ユディトは女性である前に騎士だから、嬉しく思えること、逆に貶されたと思うところが一般的な女子と違う。
そういう彼女を王子が分かっていてくれたからこそ、深く結びついたのかなと。
そういえば、二人の気持ちの自覚は、どちらもがじわじわきてある日突然爆発という点もよかった。
王子の方が自覚は早かったが。
ノリがやっぱり思春期の男子みたいな感じで微笑ましさがあった。
話はシリアスに突入していたけれども。
王女誘拐の犯人や思惑など(前述通り前半のギャグな雰囲気からは予想できないほど)作り込まれていて、最後まで気の抜けない物語だった。
ラストには実際に子作りに励んだ二人の未来の姿も見られて、そういう意味でも最後まで油断できない、大満足の物語。
オススメである。