とても良い。TCFDに関わるようになって手に取ったけど、これまでの世界の歩みや日本の対応が手に取るようにわかるし、基礎知識として役にたっているように思う。
アナン事務総長のころの国連の動き(20世紀末)や、その後(21世紀初頭)の国内での経産省と環境省の対応や「CSR」の潮流、あるいは欧米での(W
...続きを読むRIなどの)NGOの動き、といったあたりがきっかけとして大事そう。
国連では2006年にできていたのに国内では10年以上知られていなかったPRI(国連責任投資原則)なども象徴的だし、リーマンショックが与えた影響の違い(日本ではCSRが暗黒の時代に突入した一方、欧米ではむしろサステイナビリティ経営が勃興し、リスクの洗い出し・対応や、社会の信頼回復が急務と捉えられた)も印象深い。
また、CSR報告書の内容(項目)についても、GRIのガイドラインでは重要な項目に絞って報告すればよいとされているのに日本企業は網羅的な対応をするという愚直さも、誰かが指摘していたとおりだ。
本書が示す四つの象限による、「オールド/脱/ニュー 資本主義」という捉え方は、世界の動きを理解するのに確かに有用だ。
欧米が「ニュー」に移行するなかで日本がどこか「脱」にいき気味なことや、そんななかでもGPIFの水野氏らの動きが投じた一石の意義もよく理解できる。
また、リーマン後と同様、今回のコロナをうけて欧米企業ではむしろサステイナブル(気候変動への適応含む)を意識しているがその背景をやっと理解できた気がする。
学んだ視座を、TCFD関係でもいかしていきたい。